韓国原子力安全委員会は21日までに、南西部の全羅南道・霊光にあるハンビッ原子力発電所1号機で原子炉の熱出力が制限値を超えて急上昇したのに、即時停止を定めた運営指針に反し、運営会社の韓国水力原子力(韓水原)が停止させたのは異常感知から約11時間半後だったと発表した。放射性物質漏えいはなかったが、同委員会は重大事故につながる恐れがあったとみている。

 同委員会は安全措置不足と原子力安全法違反を確認したとして1号機の使用停止を命令。委員会職員に捜査権を持たせた特別司法警察官を投入し原因や管理態勢を調査している。原発事故に詳しい松山大(愛媛県)の張貞旭教授は「深刻な状態に陥りかねず、緊急停止させるべきだった。韓水原のずさんな運営や安全軽視の姿勢に問題がある」と指摘した。

 韓国の原発は全て韓水原が運営。商業用の24基中、ハンビッの6基以外の18基は日本海側にあり、事故が起きれば日本に被害が及ぶ可能性もある。韓国メディアによると、特別司法警察官の投入は1978年に原発の商業運転が始まって以降初めて。(共同)

産経新聞
https://www.sankei.com/world/amp/190521/wor1905210034-a.html