連休明けの後半国会で、自民党は野党が求める予算委員会の集中審議を断固拒否している。安倍首相が“外交破綻”を野党から攻撃されるのを嫌がっていることが理由のひとつだ。

 GW中、安倍首相をイラつかせたツイートがあるという。鳩山由紀夫元首相が今月5日に呟いたコレだ。
<北朝鮮問題では完全に蚊帳の外に置かれていた安倍首相が、金正恩委員長と会談する用意があると言い出した。なぜ言い出したのか、それは彼は何一つ外交で成果を上げることが出来ず、北方領土問題も簡単に解決できないと分かったからだろう。足許を見られたら、外交は高くつくのではないかと懸念する>

 どうやら安倍首相は、「何一つ外交で成果を上げることが出来ず」という部分に反応し、ブチ切れたらしい。

「米国で『ルーピー』と揶揄された鳩山さんにまでバカにされて腹が立ったのでしょうが、安倍さんがイラつくのは、指摘されたことが図星だからですよ。『外交の安倍』で売ってきたのに、現実の外交で成果が出ていないのは事実。昨秋から盛り上げてきた北方領土交渉が暗礁に乗り上げ、急に北朝鮮との『無条件会談』に舵を切った。これまでの『拉致問題の進展が前提』からの方針転換には、自民党内でも『ワケがわからない』と批判的な声が少なくありません」(自民党ベテラン議員)

■後半国会の攻めどころ

 安倍首相は日朝会談に前のめりだが、北からは「反応ナシ」(官邸事情通)。今月末のトランプ訪日も米国ペースで進むのは確実だし、来月末のG20も、議長国として共同声明をまとめられるのか危ぶまれている。実際、昨年のアルゼンチンG20では、米国の反対で首脳宣言に「保護主義と闘う」を盛り込めず、共同声明も出せずに終わっている。昨年同様、安倍首相が赤っ恥をかかされかねないのだ。

「永田町では『政治家は自分が得意としていることで転ぶ』と言われます。安倍首相も自分の売りにしていた『外交』で転び、今後の展望もない。不祥事や不正問題では、のらりくらりの安倍政権ですが、成否が明確な外交では実態が白日の下にさらされる。今こそ野党は、来る参院選も念頭に、外交で安倍首相を攻めるべきです」(政治評論家・野上忠興氏)

 9日は北朝鮮が再び「飛翔体」を発射したのに、無条件会談を求める安倍首相は「現時点でわが国の安全保障に影響があるような事態は確認されていない」と記者団に答えるだけで足早に立ち去った。すでに金正恩に足元を見られている。

 安倍首相の急所は「外交」。野党がここを集中攻撃すれば、安倍首相は顔を真っ赤にしてボロを出すこと間違いない。

日刊ゲンダイ
19/05/10 14:50
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