集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法に反し、平和的生存権を侵害されたとして、道内の412人が国に損害賠償などを求めた集団訴訟の判決が22日、札幌地裁であった。岡山忠広裁判長(広瀬孝裁判長代読)は「平和的生存権は法律上保護された具体的な権利とは言えない」とし、請求を全面的に退けた。安保法の違憲性については判断を示さなかった。集団訴訟は全国22地裁で25件起こされており、判決は初めて。原告側は控訴する方針。

 原告は現職自衛官の家族や元教員、憲法学者ら。「安保法成立で日本が戦争当事国になる可能性が生じ、平和的生存権や人格権が侵害され、精神的苦痛を受けた」と主張し、1人10万円の損害賠償を求めていた。

 判決理由で岡山裁判長は、平和的生存権について「平和とは理念や抽象的概念であり、国民の法律上の権利義務を具体的に定めたものではない」と判断。武力攻撃への恐怖は「現時点では漠然とした不安感にとどまる」とし、人格権の侵害にも当たらないとした。

北海道新聞
04/22 22:32 更新
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298890