いわゆる「安倍・麻生道路」の整備を巡る「忖度」問題の火の粉が延焼だ。辞任した塚田一郎前国交副大臣に続き、大家敏志参院議員(福岡選出)も昨年12月のパーティーで「総理と副総理の地元なので2人がやるとぐちゃぐちゃ言われるから、吉田博美幹事長を引っ張り出した」と忖度と受け取れる発言をしていたことが発覚した。

 塚田氏、大家氏がともに名前を挙げたのは参院自民のプチ“ドン”こと吉田参院幹事長。そんな「忖度問題」のキーマンの“優遇”を安倍官邸が画策中だ。

 9日付の毎日新聞によると、夏の参院選での去就を保留している吉田氏を、比例名簿上位に優先して登載する「特定枠」で処遇する案が政府内で浮上しているというのだ。

 参院は1票の格差是正の合区により「島根・鳥取」と「徳島・高知」選挙区を新設。選挙区2減ではじき出される現職救済のため、自民が考案したのが特定枠だ。島根選出の島田三郎参院議員が特定枠で処遇される予定だったが、本人が体調不良で出馬を見送り。空いた席に吉田氏を座らせる魂胆だ。

吉田氏自身が制度導入を主導してきただけに、特定枠での処遇が実現すれば“お手盛り”批判は免れない。そうまでして官邸は吉田氏を引き上げたいわけだ。

「吉田氏は目立つタイプではありません。黒子に徹し、派閥を超えて参院自民を束ねてきた。いざ憲法改正などの重要な局面を迎えた時は、吉田氏が音頭を取って参院自民をまとめてくれる――。安倍首相としては、味方にしておけば頼りになると期待しているのでしょう」(政治評論家・有馬晴海氏)

 17年の通常国会で共謀罪法の委員会採決を省略し、異例の「中間報告」により成立させる方針を決めたのも吉田氏だった。「忖度問題」で処分するどころか、“優遇”しようというのだからフザケている。

日刊ゲンダイ
19/04/12 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/251650/