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2019/04/10(水) 14:30:36.66ID:XwGOdJMi9昨年12月下旬。埼玉県東松山市の学童保育「第一竹の子クラブ」「第二竹の子クラブ」には、学校が冬休みに入った子供たちが朝から集まっていた。両クラブは1日当たり平均計70人ほどが利用。1教室約40人に対し、パートを含め職員4人での見守りを基本としている。
午前10時ごろ、指導員のかけ声を受けて、玩具のこま作りが始まった。子供たちが熱中するなか、「(他の子に作業を)邪魔された」と、男児が泣き始めた。指導員になだめられ気を取り直した男児は、こまを完成させると、満足そうな表情を浮かべた。
「子供たちが教室内でけんかを始めたり、学校から落ち込んで帰ってきたりすることもある。一人一人の心に寄り添った対応をしようと思うと、職員1人では困難」。指導員の金子真弓さん(30)はそう話す。
両クラブを運営するNPO法人「東松山市学童保育の会」の山本和順(かずのり)理事長も、「子供がけがをして病院に連れて行かなければならないときや、帰りが遅い子供を迎えに行く必要が出たときなど、指導員が現場を離れなければいけない場面も想定される。緊急時の対応のためにも、最低3人の職員数の確保は欠かせない」と説明する。
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厚生労働省は現在、児童福祉法に基づく省令で1教室に職員2人以上の配置を義務付けている。うち1人は保育士などで、都道府県の研修受講が必要。ただ、現場にとっては、この基準が“ハードル”となっている面もある。
働く女性の増加などを背景に、学童保育の需要は各地で高まっている。施設数は平成30年5月1日現在で2万5328カ所。登録児童数は123万人を超えている。ただ、これと比例するように、希望しても利用できなかった待機児童も1万7279人と過去最多を更新している。
政府は学童保育の定員を31〜35年度の5年間で約30万人分拡大し、計約152万人分とする計画を示しているが、職員の確保は難しいのが現状だ。
「保育士などの有資格者は保育所などと競合し、慢性的に不足している」「中山間地域では学童保育の設置案があっても人材確保の面で頓挫してしまう」。内閣府の地方分権改革の有識者会議では、自治体側からこんな訴えが相次いだ。
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こうした声を受けて、厚労省は昨年、現行の「職員2人以上の配置」というルールを、拘束力のない参考基準とする方針を表明。職員数や資格、研修内容などを自治体の判断で柔軟に決められるようにする意向を示した。
政府は3月8日、児童福祉法改正案を含む地方分権一括法案を閣議決定。施行日は来年4月1日としており、今国会での成立を目指しているが、関係者からは、「(保育の)質の低下を招く」「学童保育の質に格差が生まれる」などの不安の声が上がっている。
学童保育の職員や保護者らでつくる「全国学童保育連絡協議会」(東京)は、現行基準の堅持を求める声明を発表。3月17日時点で、約12万8000筆の署名が集まった。
同協議会の佐藤愛子事務局次長は、「専門知識や技能を備えていない人が、たった1人で子供たちを保育する状況も起こり得る。子供たちの成長や発達、安全確保に困難を強いることになりかねない」と指摘する。
産経新聞
2019.4.9 12:00
https://www.sankei.com/premium/amp/190409/prm1904090002-a.html