防衛省が、宮古島(沖縄県宮古島市)に新設した陸上自衛隊宮古島駐屯地に、周辺住民には「造らない」と説明していた弾薬庫を造り、中距離多目的誘導弾などを保管していた問題で、岩屋毅(たけし)防衛相は二日、衆院安全保障委員会で「保管を明示的に説明していなかった」として謝罪した。駐屯地の弾薬は一時的に島外に搬出するが、最終的には約十四キロ先の採石場「保良(ぼら)鉱山」に新設予定の弾薬庫へ保管すると説明。島内で保管することは変わらず、住民は「弾薬を持ち込むな」と強く反発している。 (望月衣塑子、写真も)

 弾薬庫の新設が予定されている保良鉱山の周辺には集落が迫り、二百十一世帯、三百四十六人が住む。二〇一七年九月、地元紙の報道で弾薬庫や射撃訓練場の候補地になっていることが住民に知らされた。

 防衛省によると、保良鉱山には計約千六百平方メートルとなる三棟の弾薬庫を造り、地対艦・地対空誘導弾や迫撃砲弾などを保管する予定。周辺の二つの自治会はそれぞれ、弾薬庫配備に反対の決議をしたが、この日の答弁により、さらに宮古島駐屯地に配備されている多目的誘導弾と迫撃砲弾も加わることになった。

 一方、弾薬を搬出した後の駐屯地の弾薬庫について、防衛省整備計画局の担当者は「廃棄しない」と取材に明言した。今後の使い道は「小銃やこれに類する弾薬類を保管する。『弾薬類』の具体的な種類のお答えは差し控える」とし、公表しないと話した。

 防衛省は、尖閣諸島(沖縄県)周辺などへの海洋進出を活発化させる中国などを念頭に、宮古、石垣両島と鹿児島県の奄美大島へ、計約二千人規模の警備部隊とミサイル部隊の配置を計画している。

 宮古島については、二〇一五年五月、左藤章防衛副大臣(当時)が来島した際、七百〜八百人の部隊配置を打ち出した。

東京新聞
2019年4月3日 朝刊
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