From 藤井 聡(表現者クライテリオン編集長・京都大学教授)

(1)「大阪W選」で維新側が共に勝てば、都構想の「住民投票」が事実上決定します。

統一地方選の中でも特に注目を集めているのが、
大阪の知事・市長の「W選挙」。

何といっても、現職の知事と市長が突然辞任して、
しかも、立場を入れ替えて立候補したのですから、
皆が唖然とするほどのその強引な手法に、
話題が集まったのです。

その争点は大阪市を廃止・分割する「大阪都構想」。

このW選で「維新」候補が共に勝てば、
大阪都構想の「住民投票」が実現する
可能性が極めて現実的なものとなります。

一方で、いずれか一方でも「維新」候補が負ければ、
それだけで住民投票は事実上消滅します。

つまり、今回のW選は事実上、
都構想の「住民投票をするか否かを決める」選挙
なのだと考えられるわけです。

(2)大阪都構想は、「毒まんじゅう」?

では、大阪都構想とは一体何なのかと言えば、
「大阪市を廃止し、分割するもの」。

で、それをしたら、どうなるのかと言えば・・・

都構想の推進派と利益相反関係を持つ
(あるいは持っていた)一部の学者を除けば、
少なくとも筆者が知る限り、
都構想は大阪市民にとって素晴らしいものだ、
と言う学者など、一人も居ません。
(居たら、是非教えてください)

つまり、「大阪都構想」なるものは
「上辺だけ」しか分からない一般市民にしてみれば、
何やら良さそうに見えるものの、
「中身」をよく知る学者達にしてみれば、
大きな損害をもたらすトンデモない代物である
疑義が濃厚なわけです。

こうした認識から、しばしば、大阪都構想は

「毒まんじゅう」

だと指摘されてきたわけです。
https://www.nikkei.com/article/DGXKASDG25HBB_W5A320C1EA1000/

(3)大阪都構想のキケン性を指摘する100人以上の学者の声
では、一般メディア上でなくて、
学術界では、「大阪都構想」がどういう評価を受けているのかを
紹介してみましょう。

まずは、こちらをご参照ください。
https://satoshi-fujii.com/scholarviews/

これは、大阪都構想についての
様々な学術領域の学者の見解。

ここに記載の実に108人もの学者が、
大阪都構想の「キケン性」を指摘しています。

詳細は上記HPをじっくり見ていただくとして、
その一部を簡単に紹介したいと思います。

■■■■ 1.大阪都構想で.市民の「生活サービスが低下」する ■■■■
「「都構想」は大阪市を解体し市民へのサービスを低下させるものでしかありません。」(碇山洋 金沢大学・教授 財政学)
「大阪市を分割し、権限・財源を大阪府に吸収すれば、大阪市民への生活サービスの低下は避けられない。」(高寄昇三 甲南大学・名誉教授 財政学・行政学)



2につづく

クライテリオン
2019.04.01
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20190401/