日本銀行の国債保有比率(シェア)が2013年の異次元緩和開始以降で初めて低下した。日銀が19日発表した昨年10−12月の資金循環統計(速報)で明らかになった。

 日銀が昨年12月末時点で保有する国債等(国庫短期証券と国債・財投債の合計)が市場全体に占める比率は42.99%と昨年9月末(43.00%)からわずかに低下した。国債等の残高は前年同期比1.6%増の1111兆円と過去最高を更新。日銀の保有残高も478兆円と過去最高を更新したが、シェアは12年3月末以来の減少に転じた。

 調査統計局の二宮拓人経済統計課長は日銀の保有シェア低下の理由について「日銀が保有する国債と市場全体の構成が異なるため、金利低下による時価変動が影響したほか、日銀が短期国債の買い入れを減らしていることが影響した」と説明した。

 日銀は13年4月、2%の物価目標実現を掲げ異次元緩和を開始。14年10月の追加緩和で国債保有残高の年間増加ペースを80兆円まで拡大したが、16年9月に金融調節の操作目標を量から金利に変える長短金利操作を導入。国債の年間増加ペースは「めど」として80兆円という数字は残したが、足元では30兆円前後まで買い入れペースを縮小している。

 日銀が大量の国債を買い入れる異次元緩和の下、預金取扱機関(金融機関)は国債保有残高を落としており、12月末の残高は167兆円と過去2番目に低い水準で、シェアは15.1%と過去最低となった。対照的に買い入れを増やしているのが海外で、保有残高は134兆円、シェアは12.1%といずれも過去最高を更新した。

 12月末の家計の金融資産は前年同期比1.3%減の1830兆円と、株価の下落の影響で10四半期ぶりに減少した。暦年ベースで減少したのはリーマンショックに見舞われた08年以来。

ブルームバーグ
2019年3月19日 10:59 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-19/POLALM6JIJV001