コマツが陸上自衛隊向けに開発・生産してきた車両の一部の新規開発を中止したことが分かった。海外派遣などに使われる車両について、採算が見込めず「現状が続く限り開発・製造体制を維持するのが難しく、新規開発はできない」と防衛省に伝えた。政府は国内の防衛産業の基盤を維持する方針を打ち出しているが、民間の苦しい状況が改めて浮き彫りになった。

コマツは海外派遣などの際に使われる自衛隊車両の大手。開発中止を決めたのは軽装甲機動車(LAV)で、イラク派遣や国連平和維持活動などで使われた。コマツは2000年代にLAVを200台近く受注したが、その後は発注が止まり生産を終えていた。新たに防衛省から新規開発の打診があったが、コマツは「今の状況では新規開発は難しい」と伝えていた。

コマツは人員輸送に使う装輪装甲車や軽装甲機動車、NBC偵察車、りゅう弾などを防衛省に納めてきた。17年度の防衛省との契約(中央調達)は約280億円。航空機や艦艇など含む企業別の契約額では7位だった。

コマツは粟津工場(石川県小松市)で生産してきたが、最近では18年度での開発完了を目指していた新型装輪装甲車での射撃試験で防弾板などの不具合が発覚し、開発を中止した経緯がある。偵察車やりゅう弾などについては継続して生産する予定だ。

日本経済新聞
2019年2月21日 11:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41543080R20C19A2MM0000