沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設で、防衛省沖縄防衛局が二〇一四年度以降に発注した八十三件の工事や調査のうち、七割の五十八件で契約変更をしていたことが本紙の調べで分かった。契約直後に変更したり何度も変更を繰り返したりして、当初の契約額から総額で約二百八十億円も膨らんでいた。政府は総事業費をあいまいにしたまま工事を強行しており、場当たり的な発注が契約変更の乱発を生み、工費の高騰を招いている。 (中沢誠)

 本紙は、辺野古での工事が本格化した一四年度から今年一月までの契約について、防衛省に情報開示請求したり、沖縄防衛局の窓口で閲覧したりした。

 契約変更があった五十八件のうち金額に増減があったのは四十三件。当初の契約額を集計すると、辺野古の事業全体で千百三十四億円だったが、変更の結果、千四百二十億円にまで膨らんでいた。

 辺野古の埋め立て工事を巡る県と国の法廷闘争や悪天候などで、工事が中断して工期が延びたケースもあるが、防衛局の契約記録によると、「設計精査」や「現場精査」を理由に費用が膨らんだケースが目立つ。

 埋め立て工事は、入札から一カ月もたたないうちに契約を変更。埋め立て用土砂の素材を一部変えたため業者との間で契約額を変更したが、入札をやり直すことはなかった。

 仮設桟橋やブイを設置する埋め立て準備工事は一年半で十回も変更し、契約額は五十九億円から百三十九億円と二倍以上に跳ね上がった。工事の受注業者に警備業務まで追加発注し、契約内容を変更していた。別年度では、警備業務は単独で入札・発注していた。

2につづく

東京新聞
2019年2月17日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019021702000162.html