8日の衆院予算委員会は、厚生労働省による毎月勤労統計の不正調査問題をめぐり、野党が「実態解明のキーマン」と位置付ける大西康之前政策統括官を参考人として招致した。ただ、立憲民主党は大西氏の招致を強く要求しながら、同氏への質問が少なく議論は低調なまま推移。対応のちぐはぐさが目立った。

 大西氏は統計担当の統括官だった昨年末、根本匠厚労相に不正を報告。だが、基幹統計の一斉点検で別の統計の不正を知りながら報告を怠ったとして審議本格化直前に更迭され、今月1日付で官房付となった。野党側は「証人隠しだ」と与党を批判し、予算委への出席を再三要求。与党は2019年度予算案の審議入りを条件に受け入れた。
 立憲民主党の川内博史氏は、大西氏に不正を把握してから根本氏へ報告するまでの経緯をただした。大西氏は、昨年12月13日に不正を把握し、根本氏には20日に伝えたことを明らかにした。総務省統計委員会は同年8月、厚労省に報告を求めているが、大西氏はその時点で「(部下から不正について)説明はなかった」と述べた。

 だが、川内氏は唐突に大西氏への質問をやめて根本氏らを追及。約3時間の立憲の質問中、大西氏へは数問だけだった。度重なる出席要求とは裏腹の淡泊な質疑について、同党幹部は「官僚をいじめているように見える(ので抑制した)」と説明した。国民民主党の玉木雄一郎代表は「まだ十分に真相が解明されたとは言えない」と述べ、立憲の質疑に不満を示した。
 厚労省職員の責任追及に力点を置くことは、政治責任に焦点を当てたくない与党側の思惑と合致する。自民党国対幹部は「統計不正は役人の怠慢で内容も細かい。大西氏を出席させても野党の思惑は空振りに終わると判断した」と指摘。質疑終了後、党幹部は「この問題は終わりだろう」と楽観的な見方を示した。

時事通信社
2019年02月08日21時39分
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