ヘイトスピーチ対策などを盛り込んだ東京都の条例に基づく初めての審査会が9日、都庁で開かれた。ヘイトスピーチを防ぐため、どのような場合に都の施設の利用を制限できるかなどを議論。今年度中に施設の利用制限の基準を定める予定で、条例は4月から全面施行される。

 「都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」で、昨年10月に成立した。都立公園の施設やホールなどの利用を事前に制限できるようにしたのが特徴だが、具体的な基準は決まっておらず、課題となっていた。

 審査会は大学教授や弁護士の計5人で構成する。都はこの日、ヘイトスピーチが行われる可能性が高く、さらに施設の安全管理に支障が生じることが予想される場合、施設利用の不許可や許可の取り消しができるといった基準案を提示。委員からは、表現の自由を縛らないよう、都の案に基づく厳格な運用を支持する意見があがった。一方で、ヘイトスピーチの防止により重点を置き、施設の安全性については要件から外したうえで、差別的な発言が出る可能性の大きさをもとに利用制限を判断するべきだとの声もあった。

 ヘイトスピーチが行われることを事前に把握することの難しさについても意見が交わされ、実際の運用でも課題となりそうだ。都は都民の意見も募集したうえで、基準を定める予定。(井上裕一)

朝日新聞
2019年1月10日3時0分
https://www.asahi.com/articles/ASM1941X8M19UTIL00S.html