【ロンドン=阿部伸哉】日立製作所が英中西部ウェールズでの原発新設計画を凍結する方向で調整中との報道を受け、地元アングルシー島の反対住民グループは本紙の電話取材に「本当だとしたら、これ以上ないクリスマスプレゼントだ」と喜んだ。引き続き日立取締役会などに計画撤回を働き掛けていく。

 アングルシー島では既に、東京ドーム六十四個分に当たる約三百ヘクタールが日立の現地子会社によって買収され、建設許可が申請されている。これに対し、日立の計画に反対する住民グループ「PAWB」のメンバー三人が今年五月に来日し、経済産業省に原発輸出の再考を求めていた。

 グループ中心メンバーの一人、書店店主のディラン・モーガンさん(62)は「このニュースへの関心は地元ですごく高く、英訳して支援者に回している最中」と答えた。「原発計画がいかに採算が悪いか、日立への投資家に向けて報道してくれた東京新聞などの日本メディアに感謝したい」と話した。

 来日メンバーの一人、元獣医師のロバート・イブリスさん(65)は「われわれは原発以外の日立の投資は大歓迎だ。日立にはぜひ、再生可能エネルギー技術でこの地域をけん引してほしい」と期待した。

東京新聞
2018年12月17日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201812/CK2018121702000250.html