安倍晋三首相の支持基盤、神社界が大きく揺れている。全国8万社、神職2万人を束ねる「神社本庁」(東京)で、事務方トップの田中恒清(つねきよ)総長が9月の役員会で辞意を表明しながら、翌月撤回した。剛腕総長の周辺で何が起こっているのだろうか。

 神社本庁は1946年、国家から分離された神社の大半をまとめる形で発足した宗教法人。伊勢神宮を最高の神社「本宗(ほんそう)」とし、総裁に皇族出身者、統理に皇族・華族出身者らをいただく。その下で実務全般を指揮しているのが総長(任期3年)だ。

 「今日で総長を引かせていただく」

 騒動の発端は9月11日、宗教法人法の定める責任役員会で発せられた田中氏の辞意表明だった。石清水(いわしみず)八幡宮(京都)の宮司を務める田中氏は2010年、総長に就任。現在3期目で、来年6月まで任期を残した中での発言だった。

 その場は、総長の指名権者でもある鷹司(たかつかさ)尚武統理が「真摯(しんし)に受け止めさせていただきたい」と引き取ったという。

『田中氏を揺さぶる、不可解な職員宿舎売却問題とは。「土地転がし」の疑いも報じられる中、田中氏は自らが深く関与する改憲運動を持ち出し、強く反発するが……。』

神社本庁関係者を取材すると、辞意の根底には、神社界を揺さぶっている職員宿舎売却問題があるのだという。

 職舎問題とは、川崎市にあった神社本庁の職員住宅(21戸)が競争入札をへずに出入り業者に1億8400万円で売られ、即日で別の不動産業者に2億1240万円で転売された事案だ。一昨年の役員会で表面化し、土地転がしの疑いもあるとして、田中執行部を揺さぶってきた。

 昨年夏には、疑惑解明を訴えた…

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朝日新聞
2018年12月15日17時24分
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