土砂投入が始まったのは14日午前11時ごろ。名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブの南側で、護岸からダンプカーが土砂を下ろし、その土砂をブルドーザーが海へ押し出した。工事は午後も続き、埋め立ての土砂が次々と運び込まれた。

 キャンプ・シュワブのゲート前では、早朝から抗議する人たちが集まり、抗議の座り込みをしたり、「埋め立てやめろ」とシュプレヒコールを上げたりした。参加者の一部が基地に出入りする米軍関係車両を取り囲んで抗議し、県警機動隊員に抱えられて排除される場面も。午後からは工事現場が見える浜辺で集会を開き、主催者発表で1千人が参加。「あきらめない」などと声を上げた。カヌーも最大で40隻ほどがこぎ出し、海上から抗議した。

 ゲート前には、8月に急逝した故翁長雄志(たけし)前知事の妻樹子(みきこ)さん(63)の姿もあった。「今日、辺野古に行かないと、一生後悔すると思った。翁長もここに一緒に立ってくれていると思う」と言い、嘆いた。「翁長は沖縄の父でありたいと思い続けた。政府は国民の親ではないのですか」

 玉城デニー氏が過去最多得票で当選し、辺野古反対の民意が示された知事選からわずか2カ月半。県民は一様に複雑な表情をみせた。

 普天間飛行場の北側に隣接する自治会の会長を務める宜野湾市の新城(しんじょう)嘉隆(よしたか)さん(51)は「沖縄が何を言ってもムダ。もう沖縄は日本ではない感じがする」とつぶやいた。近くの保育園では昨年12月、米軍ヘリの部品が見つかり、小学校には米軍ヘリの窓が落下した。「『辺野古が唯一』と名護に押しつけるだけでなく、政府は(県外移設の)選択肢を見つけ出してほしい」

 一方、那覇市のデパートで買い物をしていた浦添市の玉城(たまき)いづみさん(37)は「もう仕方ないって思ってしまいます。本土のどこも、基地を受け入れる所がないんだから」とあきらめ顔だ。今年9月の知事選では少し期待して「辺野古移設反対」の玉城デニー氏に投票したが、「やっぱり覆らないですね。自分たちが選んだ知事の公約が実現されないのは残念です」と話した。

 名護市の主婦(23)も「ここまで進んでいるから。これ以上長引かせてもしょうがないのかな」。1歳の息子がおり、事故が増えることへの不安はあるが、「基地問題より、仕事の求人を増やしてほしい」。

朝日新聞
2018年12月14日20時13分
https://www.asahi.com/articles/ASLDG5G3RLDGTIPE034.html