官民ファンド「産業革新投資機構(JIC)」は10日、田中正明社長や社外取締役の坂根正弘氏(コマツ相談役)ら民間出身の取締役計9人が辞任すると発表した。JICを所管する経済産業省と役員の報酬や投資手法を巡る対立が深まり、現経営陣は業務の遂行が難しいと判断した。JICは事実上、休止状態に追い込まれる。

 田中氏は10日午後、東京都内で記者会見を開き、「経産省の姿勢の変化で、理念の実現が困難になった」と述べた。辞任するのは11人いる取締役のうち、田中氏のほか、金子恭規副社長、佃秀昭専務、戸矢博明専務の代表権を持つ役員4人と、坂根氏など社外取締役5人。JICの発表によると、9人は「残務整理がつき次第、取締役を辞任することになる」という。政府出身の2人は残留する。9人の後任の選定は、難航が避けられない見通しだ。

 取締役会議長を務める坂根氏は7日、経産省の嶋田隆次官に会い、JICの今後の対応を協議していた。坂根氏は10日朝、記者団の取材に対し「(政府はJICの運営に)口を出したいようだが、時間のロスだ」と述べた。

読売新聞
2018年12月10日 13時34分
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20181210-OYT1T50033.html