地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の予定地・秋田で、来夏の参院選の1人区争奪の号砲が上がろうとしている。配備賛成の自民党現職・中泉松司参院議員(39)に対し、野党が配備反対候補として沼谷純県議(45)を擁立する動きが本格化してきたのだ。

 沼谷県議は元県庁職員で現在2期目。県議会でイージス・アショア問題を追及する反対派の急先鋒だ。

 11月24日、立憲民主党秋田県連キックオフ大会で枝野幸男代表は、「参院選で秋田や山口ではイージス・アショアが大きな争点になるのは間違いない」と強調した。

 同じ会場で直前に開かれた寺田学衆院議員(立民会派)の国政報告会では、東京新聞の半田滋論説兼編集委員がイージス・アショアについて講演。必要性への疑問や電磁波による健康被害の恐れ、ドクターヘリ航行制限の弊害などについて指摘した。これを受けて寺田が「保革を超えて反対すべき地域の問題」と訴えながら、「沼谷さん、やるべえ」と出馬要請をしたのだ。

保革連携で辺野古新基地に反対する「オール沖縄」体制を生み出したのは翁長雄志前知事だが、父が元秋田県知事の寺田もまた、イデオロギーを乗り越えて故郷を守る「オール秋田」を呼びかけたといえる。

「秋田に生まれ育った人間として、こういう扱いを受けるのは本当に悔しい。我々が育ってきた秋田は日本の倉庫でも何でもない。我々が住んでいる場所に大した理由も説明もなく(イージス・アショアが)置かれることに強い憤りを感じますし、声を上げる与党議員がゼロであることに本当に情けなくなる。(参院選で)秋田県民が矜持を持って、安倍政権、現職候補に『あなたのやっていることは違う』『秋田県民の考え方を聞け』ということを票で示す最後のチャンスと思っています」(寺田)

 秋田が第2の沖縄のような様相を呈してきた。秋田選挙区は「イージス・アショアの賛否」を問う全国注目の1人区になりそうだ。

(ジャーナリスト・横田一)

日刊ゲンダイ
2018/12/5
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/242919/