開場からまだ1カ月しか経っていないのに、また豊洲市場で問題発生だ。市場内に“腐敗臭”が漂っていることを日刊ゲンダイは今月2日発売号で報じたが、今度は「穴」。市場の建物内の床に亀裂が入り無数の穴が開いてしまったというのだ。

 穴が開いているのは、仲卸売場棟4階の荷さばきスペース。南西部に位置するエレベーターを出たところにある排水溝付近にヒビが入り、陥没してしまっているのだ。幅は二十数センチで、深さは4〜5センチ。コンクリートの下から、発泡スチロールのようなものが露出している。

 複数の市場関係者がこの穴に気付いたのは、11日から12日にかけてのこと。4階荷さばきスペースでは他にも、大小のヒビ割れや無数の穴が見受けられるという。

「床の穴は、表面のコンクリートが割れ、沈み込んだような状態です。ターレ(小型トラック)なんかが頻繁に通る場所ですから、恐らく重みで割れてしまったのでしょう。きのう、確認しに行くと、最初に見た時よりヒビ割れがさらに長くのびていました。ちょっとしたくぼみと思われるかもしれませんが、たくさんの荷物を積んだターレが通りますから、タイヤが引っかかりでもしたら大事故につながりかねません」(市場関係者)

日刊ゲンダイはこれまで、豊洲市場の床積載荷重が不十分で、重い荷物を運ぶと床がボロボロになるのではと市場建設中から再三、指摘してきた。

 実際、都は建物の一部で、2〜2・5トンのフォークリフトのパレットに積載する荷物の重さを「800キロまで」と制限している。さらに、一部の業者に「あまり重たい荷物を築地から持ってこないように」と指示を出している事実も、日刊ゲンダイは掴んでいる。

 東京中央市場労組の中澤誠執行委員長も、日刊ゲンダイのインタビューに「重い荷物を運ぶ上で不安が残っている」と語っていた。やはり、豊洲市場の床は“抜ける”恐れがあるのか。

 都に問い合わせると、こう返答した。

「仲卸売場棟4階の床は、鉄筋が入ったコンクリートの構造体の上に防水剤と断熱材が敷かれ、表層部分に押さえのコンクリートが張られています。今回割れたのは、表層のコンクリートであり、床の構造自体が大きく損傷することはありません。ただ、同じように割れている箇所は他にも複数あり、ターレなどの走行に支障が出るので、13日に補修したところです」(中央卸売市場事業部施設課)

■コンクリートが薄すぎる

 開場わずか1カ月で床が穴だらけとは、「最新鋭」の豊洲市場が聞いて呆れる。建築エコノミストの森山高至氏はこう言う。

「通常、車両が走る想定の駐車場などは、最低10センチ程度の押さえのコンクリートを張るものです。都は、防水剤と断熱材とコンクリートで計11センチの厚みを取っていると言います。そうなると、コンクリートの厚さは7〜8センチでしょう。その上、水が排水溝に流れていくように床面に傾斜をつけていますから、さらにコンクリートが薄くなっている箇所があることも考えられる。これでは薄すぎて、コンクリートが割れてしまうのは当たり前です。今後も同じ問題が起きるでしょう。都は、ターレなどが行き交うことを十分想定していたのか疑問です」

「老朽化」が原因で築地から移ったのに、このありさまじゃあ目も当てられない。「腐敗臭」が滞留してしまう問題といい、やはり豊洲は“欠陥建築”か。

日刊ゲンダイ
2018/11/15 06:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/241645/