「50年近く勤めてきた、本当に愛すべき、すべて人生過ごしてきた仲間たちと過ごしてきた仕事、誇りを持ってやってきたその職場が、そんな(森友)疑惑を持たれて全然説明できない」(自殺した職員の元同僚・近畿財務局OB)

 これは25日放送の「報道ステーション」(テレビ朝日系)で、近畿財務局のOBたちが、取材に答えたときの言葉。

 インタビュアーに、

「真相にたどりついていない今の状況を財務局の職員はどんな思いでいる?」  と聞かれ、そう答えていた。あたしゃ、泣きそうになっちゃったよ。

 インタビューには、もっと肝心なこと、たとえば文書の改ざんは上からの指示がないとできないとか、国民を欺き犯罪行為に等しいことをしでかした佐川元理財局長を褒め称える麻生大臣が、大臣でいつづけるなどあり得ないとか、そういう話もでてくる。

 でも、あたしは冒頭の言葉に参った。

 森友問題があって、悪くいわれることの多い近畿財務局、そして官僚たち。

 しかし、ほとんどの官僚や公務員は、真面目に仕事をしてるんだよね。

 真面目だからこそ、不正に協力しろといわれれば、死ぬほど悩む。

 番組に出てきたOBたちは、みな良い顔の爺さんたちだった。何十年も誇りを持って仕事をしていた人の顔だ。

 安倍政権下では問題が起こると、末端に責任を押し付け、トカゲの尻尾切りをする。

 あたしたちは切り離された無残な尻尾を見せられて、留飲を下げることに慣らされてやしないか?

 ちょっと前までうまくやっていた(と思われる)人が、落ち目になって、方々からボコボコにされるのを眺め、気を晴らすっていうかさ。

 きっと、それじゃ問題は解決しない。きっちりトカゲ一匹を、陽の当たるところに引きずり出さないと。そして、説明があるなら、その口から聞いてやろう。

 潰すなら、頭だ。

日刊ゲンダイ
2018/11/02 06:00
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