静思社/柳瀬芳意訳/イマヌエル・スエデンボルグ/真の基督教414
「国家は一つの社会よりも更に大きい隣人である。それが多くの社会から成り、
従って、国家に対する愛は更に、広く、高い愛であるからである。更に国家を愛
することは公共の幸福を愛することである。国家は隣人であるのは、それが両親
に似ているからである。何故なら彼は此処に生まれ、育てられ、危害から守られ
るからである。人間はその国家に対する愛によって、その国の或は自然的な、或
は霊的な必要に応じて、之に善をなさねばならぬ。自然的な必要は、公民の生活
と秩序とに関係し、霊的な必要は、霊的な生活と秩序とに関係する。人間性は凡
て自己自身を愛する以上に己が国家を愛すべき義務があることは、人間の心に刻
み込まれている律法である。かくて、国家のためにその必要の時に死ぬことは貴
く、また、軍人が国を守って血を流すことは光栄であるとの全般的に受け入れら
れている公理が生まれてくるのである。己が国家を愛し、善意をもって、之に仕
える者は、死後主の御国を愛する。何故なら、その時、それが彼らの国家であり、
主の御国を愛する者は、主はその御国の凡ゆるものに於ける凡ゆるものにて在す
故、主を愛する者である。」