来週13日に告示が迫った沖縄県知事選の形勢について、いくつかの調査で玉城デニー前衆議院議員が自公維の佐喜真淳前宜野湾市長をかなりリードしていることは8月31日付の日刊ゲンダイでも既報の通り。若干補足すれば、自民党本部が県内で実施した独自調査では、玉城が佐喜真を10ポイント以上リードし、また某全国紙の調査では玉城がダブルスコアでリードしているという。

 日刊ゲンダイ記事も指摘していたように、自公維側が相手陣営を油断させるために流している偽情報も混じっているかもしれず、決して真に受けてはならないが、8月末の時点では、宜野湾の市議・県議・市長しか経験していない県内ローカルの佐喜真よりも、かつてラジオの人気DJで沖縄市議を経て衆議院議員を4期務めて自由党幹事長でもある玉城のほうが、知名度において勝るのは当然で、まあダブルスコアはオーバーだろうけれども、イメージ戦で玉城が優位にあるのは事実だろう。しかし、沖縄の有力な玉城支援者に言わせると、そんなことは問題ではない。

「知名度とかイメージとかで勝てるほど沖縄の選挙は甘くない。今年1月の名護市長選でも、辺野古阻止の理念とかイメージで言えば、稲嶺進=前市長が勝って当たり前だったが、実際には自民党がカネを散布したあとに創価学会員が地を這うように戸別訪問を繰り返して票を掘り起こす徹底的な組織戦を展開して、稲嶺陣営としてはお手上げだった。6月の新潟知事選も同様だったと伝聞している。となると、自公維側のそのような組織戦に対抗して、地を這う集票作戦を立案し実行できる「『オール沖縄』の統一作戦本部が必要になる」と、彼は言う。

 その通りで、実のところ、安保法制反対運動でオール野党の共闘態勢が生まれ、それを背景に16年4月の北海道衆議院5区補選から同年7月の参院選など野党統一候補擁立という機運が生じた。それで勝ったり負けたりしたけれども、そこでの最大の問題は、「オール野党」と言いながら、各党党首勢揃いによる街頭演説の順番をどうするかといったような愚劣なメンツ問題では言い争うけれども、選挙の実情に即した地を這う組織的な集票活動をどう分担するかという冷静な作戦の立案・実行は誰も責任を持っていないという実態である。

 選挙の本質は組織戦であり、オール野党とかオール沖縄とか言いながら、その作戦指導部を持たなければムードだけで勝てるわけがない。

日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/236891