9月20日投票に正式決定した自民党総裁選。国会議員票の8割を固めた安倍陣営は「楽勝、楽勝」と余裕綽々だ。まだ告示もされていないのに、総裁3選後の“人事話”が飛び交っている。誰が作ったのか、早くも<官房長官・下村博文、総務大臣・小渕優子、経産大臣・甘利明……>といった閣僚名簿案まで流れる始末だ。

 仰天なのは、スキャンダルで表舞台を去った連中が、大臣などに次々返り咲くと囁かれていることだ。

「いま、下馬評に上っているのが、甘利明氏の財務相と下村博文氏の官房長官説です。甘利氏は大臣室で裏金50万円を受け取って経済再生担当相をクビになった男です。下村氏も文科相時代に“政治とカネ”の問題が浮上しただけでなく、加計学園からパー券代200万円を受け取りながら収支報告書に記載していなかった。普通の神経なら二度と表舞台に立とうとしないし、総理も重用しないでしょう。でも、2人とも安倍首相の“お友達”だけに、石破茂氏に圧勝したら復権させるつもりだとみられています」(自民党関係者)

露骨な論功行賞も行われそうだ。首相周辺は、現在4人の大臣を出している岸田派からポストを取り上げて山分けするつもりらしい。さらに、安倍首相のゴッドマザー洋子さんの強い希望で、首相の実弟である岸信夫氏の外相就任も取り沙汰されている。戦う前から首相周辺は浮かれている。

 しかし、安倍3選後の人事は、安倍政権の終わりの始まりになる可能性がある。政治評論家の山口朝雄氏が言う。

「人事はやればやるほど、政権が弱体化するのは、政界の常識です。希望通りのポストに就けた議員より、希望がかなわなかった議員の方が多いからです。希望がかなわなかった議員は不満を強め、反対勢力になりやすい。しかも、安倍首相は議員の8割から支持を集めている。どう考えてもポストが足りない。そのうえ、大臣待機組が50人もいる。とても処遇できないでしょう」

 ポスト狙いで“安倍支持”に回っている議員も多いだけに、総裁3選後、安倍首相への不満が噴き出すのではないか。

日刊ゲンダイ
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