「逆らったら干すぞ」――と恫喝されても、「安倍1強支配」に反旗を翻した参院竹下派(21人)。竹下派は、衆参(55人)そろって「石破支持」で動くかどうか、9日、長野市で開く派閥会合で正式に態度表明する意向だ。

 参院竹下派が「石破支持」で固まったのは、かつて参院のドンとして権勢をふるった青木幹雄元参院議員会長(84)が、竹下派会長代行の吉田博美参院幹事長に「石破茂でいけ」と命じたのが発端だ。青木氏は気分や感情で動く政治家ではなく、確固たる戦略をもって行動するタイプだ。「安倍1強」と距離を置いた方が得策だと計算したのは間違いない。

 ただ、参院竹下派が安倍首相ではなく、石破支持で固まったのは、安倍陣営に対して感情的なシコリが相当あったからだという。

 安倍首相を支える細田派、麻生派、二階派の主要3派閥が、人事を材料に圧力をかけていることに対して「冗談じゃない」という気分が蔓延しているというのだ。吉田氏も、安倍首相に向かって「人事で圧力をかけるなんてことがあってはならない」と直接、抗議している。

「結束が固いうえに、一人一人が力を持っているのが、参院竹下派です。しかも、衆議院と違って、自民党参院は派閥を超えてまとまっている。『干せるものなら干してみろ』と反発しています。安倍陣営は、恫喝すれば皆ひれ伏すと考えていたようですが、完全に裏目に出ています」(自民党関係者)

 さらに、安倍首相にスリ寄る竹下派の衆院幹部が、参院竹下派の議員に「来年の選挙は公認しない。総理も同意しています」と恫喝メールを送ったという話が広まり、ますます「安倍陣営に一泡吹かせてやる」というムードが強まっているという。

「安倍1強」の傲慢さが、敵をつくっている格好だ。しかも、反省するどころか、麻生財務相は、遅れて安倍支持を表明した岸田政調会長に「乗り遅れたな」と冷たく声をかけたという。この先、「安倍1強」に反旗を翻す議員がさらに出てくるのではないか。

日刊ゲンダイ
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