アベノミクスの化けの皮が剥がれる日が近づいている――。物価が上がらない一方、異次元緩和の副作用に金融機関が悲鳴を上げる中、7月30、31日に開かれる日銀の金融政策決定会合に大きな注目が集まっている。

 決定会合では、物価見通しを4月時点より下方修正する予定だ。2018年度は1.3%から1%程度に、19年度は1.8%から1%台半ばに下げる。5年以上達成できていない年間2%の物価目標はますます遠のくことになる。7月30、31日の決定会合が注目されているのは、日銀に打つ手はあるのか、打っても逆に混乱が生じるのではないか――と不安視されているからだ。ニッチもサッチもいかない状況に、市場は過敏になっている。

 さっそく、26日の東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時、0.100%まで上昇。約1年ぶりの高い水準となった。

「政策決定会合では、物価の下方修正とあわせて、金融緩和が見直され、利上げを容認するなどの『柔軟化』が打ち出されるのではないかと観測が強まったためです」(金融関係者)

 しかし、利上げへ進めば、円高で輸出は打撃、国債、株も暴落し市場は大混乱。逆に、追加緩和なら、地銀など金融機関の経営はますます悪化し、悲鳴はいっそうデカくなる。

 しかし、日銀は7月の会合で何もしないわけにもいかない。

「次の決定会合は自民党総裁選直前の9月18、19日。さすがに、市場に影響を与えることはしにくい。一方で、金融機関の悲鳴も無視できない。日銀は7月に、出口に向けて何らかの布石を打ちたい。それが『柔軟化』です」(前出の金融関係者)

 経済評論家の斎藤満氏が言う。


「決定会合では、物価が上がらない要因をネット通販や企業の人件費抑制とみて、金融緩和と物価を切り離すようです。一方で、5年間に及ぶ異次元緩和で金融機関はもう持たなくなっていて、一刻も早く副作用を和らげなければならない。トランプ大統領が円高圧力を強めていることもあり、日銀は円高やむなしと判断しているようです。金利を上げるといわないまでも、柔軟化の方向に進むことになるでしょう。その場合、国債が下落し、市場は混乱します」

 庶民も7.31は要注目だ。

日刊ゲンダイ
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