毎日新聞 2018年7月19日 15時00分(最終更新 7月19日 18時38分)

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画を巡り、沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は、前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回する手続きに入る方針を固めた。撤回には、事業主体の防衛省沖縄防衛局から弁明を聞く「聴聞」が必要で、近く防衛局に通知する。政府が進める移設工事が、承認時に付けた留意事項に違反していると判断。8月17日に予定されている土砂投入前の撤回に踏み切る。

 防衛局は8月17日にも辺野古沿岸部の海域に土砂を投入し、埋め立てを始めることを県に通知している。翁長知事が撤回すれば、工事は法的根拠がなくなり、一時停止する。政府は「撤回」の効力を失わせる執行停止を裁判所などに求め、工事の再開を図る。

 辺野古沿岸部の埋め立ては2013年12月に当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が承認した。移設阻止を掲げ、就任した翁長知事は15年10月、「承認手続きに瑕疵(かし)があった」として承認を取り消したが、国は「取り消しは違法」として県を提訴。16年12月、最高裁で県の敗訴が確定した。

 「撤回」は、承認後の出来事を理由に承認の効力を失わせる行為。翁長知事は17年3月に撤回を「必ずやる」と明言し、その後も「環境保全措置などについて看過できない事態になれば躊躇(ちゅうちょ)することなく撤回する」と繰り返してきた。

 県は、埋め立て予定海域の辺野古沿岸部東側で当初想定されていなかった軟弱な地盤が存在している可能性が高いのに、防衛局が県との協議に応じないこと、希少なサンゴ類の移植などの環境保全策が不十分なまま護岸工事を続けていることなどが留意事項違反にあたると判断した。【遠藤孝康】

https://mainichi.jp/articles/20180719/k00/00e/010/334000c