高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」創設を含む「働き方改革」関連法が成立した29日、過労死で身内を失った遺族らは「残念で悔しい」「憤りを感じる」と無念の思いを口にした。
 遺族らは黒い服を着て、遺影を手に参院本会議を傍聴。討論や採決を厳しい表情で見詰めた。広告大手・電通の新入社員で過労自殺した高橋まつりさんの母幸美さん(55)も国会審議を初めて傍聴し、成立するとハンカチで悔し涙を拭った。

 遺族らは、成立後に参院議員会館内で記者会見。幸美さんは「法は過労死防止と矛盾する内容。遺族として絶対納得できない」と語気を強めた。成立時には心の中でまつりさんに「これがあなたを追い詰めた日本の姿だよ。多数決の力で法案が通ってしまい、とても残念」と語り掛けたという。
 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表(69)は「高プロ導入で間違いなく過労死は増える」と改めて批判。その上で、「法成立で諦めず、遺族として社会に警鐘を鳴らし、犠牲者が出ないような健全な働き方のできる社会にしていく活動を続けたい」と意気込みを語った。(2018/06/29-19:13)

時事通信社
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