29日、全国の国家公務員に一斉にボーナスが支給された。人事院によると、一般職の平均支給率は2.125カ月分。人事院発表の資料では、公務員給与(一般職)の平均は43.6歳で40万4971円だから、平均支給額は86万563円で、6年連続の増加となる。

 森友学園の国有地払い下げをめぐる財務省の文書改ざんや、防衛省の日報隠蔽、厚労省のデータ捏造など、相次いだ不祥事にも一切構わずボーナスアップだ。今や日本の国債残高は税収の15倍の883兆円。GDP比も先進国の中で最悪なのに、である。

 不思議なのが、大新聞・テレビで報じられている平均支給額が「65万円」と実際よりも20万円近く少ないことだ。

 これにはカラクリがある。実は内閣人事局が公表する平均額は「管理職を除く行政職、成績標準者(平均35.9歳)」という注釈付きだ。国家公務員の総数は58万人で、自衛官や専門職、幹部を除いた事務系(一般行政職)は14万人。公務員は年功序列で誰でも昇進できるため、一般行政職の過半数が「管理職」である。そして、人事評価では、上位6割が「成績優秀者」、下位4割が「成績標準者」である。

つまり、大新聞・テレビが報じている「平均支給額」は、役所の過半数に満たない若手職員のうち、さらに成績下位者の金額なのだ。これはある意味、「データ改ざん」ではないだろうか。

 ところで、閣僚や国会議員にもボーナスが出る。モリカケ問題でデタラメな答弁を繰り返す安倍首相には535万円、文書改ざんでも辞任しない麻生財務相ら大臣には390万円。首相は支給額の30%、官僚は20%を自主返納する申し合わせがある。国会議員には296万円の見込みだ。公務員と政治家は三日やったらやめられない。つくづくお気楽な商売である。

(ジャーナリスト・若林亜紀)

日刊ゲンダイ
2018.06.29
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