周回遅れのような気もするが、せっかく読み込んだので
財務省の改ざん報告書(2018/06/04)

(感想)
個人的感想を正直に言うと、
「財務省の報告書には、疑惑の解明に資するものはない」。
すでに報道されていた内容の後付け程度の、二次資料という位置づけだ。
(同時期に公表された、契約後の交渉録のほうが欠けているにせよ有用)

仮にこの報告書が次に注目されることになるとすれば、この報告書でうそをついていることが判明した場合の証拠としてだろう。

この報告書の内容が奇妙なのは、佐川が直接指示をしていないのに、
総務課長や国有財産企画課長と国有財産審理室長が改ざんをという意思決定を下して実行した、
と結論付けていることである。
それでいながら、佐川には(管理責任があるとしても)「実行犯」よりも重い処罰を下している。

この報告書を真に受ければ、この件は課長クラスの暴走だった、ということになる。
課長クラスの暴走といえば、戦前の日本陸軍を思い起こさせるし、「日本の組織は課長クラスが動かしている」といった日本の組織論へと発展しそうだが、ここでは触れない。
というのも、今回の問題は、課長クラスの暴走とは思えないからだ。

では、局長からの指示がないのに、なぜ、課長クラスが改ざんという歴史への犯罪行為を行ったのかと言えば、考えられるのは、
「理財局長以外の上からの指示があった」

そこで、2017年2月22日(菅官房長官への説明)を意識して今回の報告書を読み込めば、
・02/22の説明には総務課長が同席
・総務課長は決裁文書の内容を知らなかった(決裁印を押しているが中身を見ていない)と答弁済みの前提
・02/21の国会議員団への現地説明で、田村室長が政治家関係者の記述が問題となることを認識し、「その後」、総務課長に報告、と時系列をはっきりさせない報告書の記述
・02/23以降は、近畿財務局で応援の職員を呼び寄せて体制を強化した(→人員を動かす上からの許可があったことを示唆)

これらの点は、官邸から総務課長に指示があったと疑わせるものであり、そのように想定すれば、論理的に矛盾しない話になる。

この問題は、「忖度」の本家であるので、その言葉で片づけてしまいがちだが、明確な指示があったのだろう。

総務課長は停職1月の懲戒処分を受けていて、暇だろうから、改めて話してもらいたいものだ。

さらなる情報を期待したい。