◆財務省が隠した957ページ、森友学園と価格交渉
更新:2018/05/23 19:33 MBS 毎日放送

 財務省がこれまで「廃棄した」としてきた森友学園側との交渉記録が一部の職員のパソコンなどに残されていたとして23日、国会に提出されました。957ページもの記録から見えてくる、財務省が隠したかったものとは。

 豊中市の国有地売却をめぐり、財務省と森友学園との間で行われた交渉。去年2月の国会で、当時の佐川理財局長は「記録は残っていない」と答弁していました。

 「交渉の記録、面会記録は全て残っていますね?」(共産党 宮本岳志衆院議員)
 「ご依頼を受けて確認したところ、近畿財務局と森友学園との交渉記録は残っていませんでした」(財務省 佐川宣寿理財局長(当時))

 しかし、23日の財務省の説明によれば、この時まだ記録は残されていました。佐川氏の答弁の後、財務省は決裁文書の「改ざん」と同時に交渉記録の「廃棄」を進めたといいます。

 しかし、その後の調査で一部の職員が「手控え」として交渉記録を残していたことがわかり23日午前、957ページにのぼる文書が国会に提出されました。

 「こんなに面談メモがあるのに、面談記録はないと答えていた。明確な意図的なウソをついていたんだね」(国民民主党 玉木雄一郎衆院議員)

 そこには何が書かれていて、財務省は何を隠したかったのでしょうか。

 【1.安倍昭恵氏付き職員の『関与』】
 2015年11月のメモ。安倍昭恵氏付きの職員・谷査恵子氏が「森友学園の小学校が介護施設向けの優遇措置を受けられる可能性があるか」と、財務省側に問い合わせていました。

 「知り合いの方から優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、当方から問い合わせさせて頂いたもの」(2015年11月10日、谷査恵子氏の発言)

 これに対し財務省側は「学校施設を対象とするものではない」と回答。谷氏は「了解した。先方に説明しておく」と引き取っていました。

 【2.政治家秘書から再三の問い合わせ】
 記録をつぶさに見ると目立ったのは政治家の秘書からの問い合わせ。やり取りの数は国会議員5人の秘書から合わせて12回に及んでいました。

 「理事長は貸付料が高額であり『何とかならないか』と言っている。また理事長は『土地の価格も高い』と言っている」(2015年6月4日、柳本卓治参院議員の秘書の発言)
 「鑑定評価額が7億円程度にもかかわらず、財務局は購入価格を9億5000万円としており困っているとの内容」(2015年5月27日、平沼赳夫元衆院議員の秘書の発言)

 ただ、秘書自身が籠池氏らのプレッシャーに困っている様子も。

 「こういう商売をしているので、持ち込まれた話は聞かなければならないが、毎日のように電話を受けて困惑している」(2015年6月4日、柳本卓治参院議員の秘書の発言)

 【3.やはりあった『価格交渉』】
 一方で、財務省が否定してきた学園側との「事前の価格交渉」については、生々しいやり取りが記録されていました。

 「土地を買い受けるのであれば、金額は限りなくゼロに近いものであるべき」(2016年5月18日、籠池泰典被告の発言)
 「鑑定評価中であるが、そのような金額にはならない」(2016年5月18日、近畿財務局職員の発言)
 「実際にごみがあるんだろう!何を言っている!これは刑事事件だぞ!」(2016年3月14日、籠池諄子被告の発言)
 「6月の棟上げ式には首相夫人を招待するスケジュールを組んでいる。やらざるを得ない。これができなければ切腹する覚悟」(2016年3月30日、籠池泰典被告の発言)

 23日安倍首相は…

 「財務省の交渉記録が出てまいりました。これ総理、どう思われますか。奥様に聞かれましたか」(立憲民主党 長妻昭衆院議員)
 「今言われた件については、既に何回か国会で議論していること。今まで既に出ていることであります」(安倍晋三首相)
 「新たな文書が出たんですよ、ここに書いてあるのが事実だとすると、総理夫人に直接照会があったと」(立憲民主党 長妻昭衆院議員)
 「私の妻は籠池氏から何度か、留守番電話にメッセージをいただいていたが、妻はほとんど電話に出ていないのも事実であります」(安倍晋三首相)

 財務省は今後、誰が交渉記録の廃棄を指示したかなどを調査し速やかに結果を報告するとしています。

https://www.mbs.jp/news/kansainews/20180523/GE000000000000022723.shtml