◆茂木経済再生相は亡国の閣僚 米国抜き「TPP11」驚愕の実態
2018年5月23日 日刊ゲンダイ

 米国を除く11カ国が署名した「TPP11」(環太平洋パートナーシップ協定)の承認案について、先週与党は自然成立させられる日程を計算したうえで、急いで衆院を通過させた。

 これに反発して、野党が茂木敏充経済再生担当相の不信任決議案を提出。22日午後の衆院本会議で与党の反対多数で否決されたが、確かに茂木大臣は亡国の閣僚だ。国民にはほとんど知らされていないが、この「TPP11」は米国が入っていた以前の「TPP12」よりもヒドイ内容になっているのだ。

■「食を外国に握られることは国の独立を失うこと」

 17日の衆院内閣委で参考人として意見陳述した東大大学院教授の鈴木宣弘氏(農政)が「TPP11がTPP12より悪い」理由をまとめている。

@TPP11の発効は、日米2国間でTPP以上の対日要求に応えることとセットなので、「TPP11+米国へのTPP12以上の譲歩=TPP12以上の日本の打撃」。

ATPP12で米国に迫られ仕方なく認めたとして、各国が80項目もの凍結を要求したが、結果的に22項目が凍結されただけで、削除されていない。これは米国の復帰待ち。つまり、米国のために配慮するというメッセージ。

B「TPP11を急げば日米FTAを避けられる」は間違い。米国抜きのTPP11が発効したら、出遅れる米国は、逆に日米FTAの要求を強めるのが必定。TPP12以上の譲歩を要求される。

 これらがおもな理由だが、要は、米国抜きTPP11のはずが、その実態は「米国待ちの米国のためのTPP11」であり、日米2国間FTAだろうが、TPP11だろうが、日本の農業が受けるダメージは変わらないのである。

 鈴木宣弘氏があらためてこう言う。

「日本は国家安全保障の要としての食料の位置づけが甘い。食料自給率はいまや38%まで下がり、上げる努力の気配も感じられず、世界の流れに完全に逆行しています。食を外国に握られることは国民の命を握られ国の独立を失うこと。もう一度、立ち止まって考える必要があります」

 安倍政権お得意の“印象操作”でイメージアップを図ったが、TPP11も米国従属の亡国条約なのである。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229559