◆意味深リポートが話題 聞こえてきた“安倍退陣相場”の足音
2018年5月10日

 株式市場で政治リスクが急浮上している。

「ゴールデンウイーク直前に、米ゴールドマン・サックス(GS)が安倍政権に絡む意味深なリポートを出したのです。これが兜町界隈で話題になっています」(市場関係者)

 GSリポートのタイトルは、「次期首相をめぐる『もしも』――政治リスクと市場」だ。9月の自民党総裁選で「安倍首相は3選を果たすか、それとも交代か」をテーマに、市場に与える影響を分析している。

「GSは投資家に対し、安倍退陣を視野に入れたほうがいいと警告したことになります」(株式アナリストの黒岩泰氏)

 リポートは、首相が交代した場合、株価や為替(ドル円)がどう反応するかを分析している。1986年の中曽根康弘首相から、2011年の野田佳彦首相まで18回の交代を対象に調査した。株価(TOPIX)は、平均すると就任10日後に1%下落し、30日後に2%下落、60日後には3%下落だった。

 一方、60日後の為替相場は、対ドルで平均2%ほど円高に振れている。

「首相交代で、円高・株安が出現する可能性が高いということです。実は野村証券も先月、『財政再建論者の石破氏や岸田氏が首相になると消費税引き上げの連想から円高になりやすい』といった内容をリポートに書いています」(証券アナリスト)

 株式市場は、安倍退陣を織り込み始めているようだ。

「アベノミクスの第3の矢といわれた成長戦略は進展していません。そのせいで、市場はアベノミクスを信じなくなっています。言葉は悪いですが、もう、うんざりなのです。首相交代によって、アベノミクスではない新しい経済政策が誕生するはずです。市場は新鮮さを求め始めています」(株式評論家の倉多慎之助氏)

 GSは“首相交代に備える銘柄”をピックアップしている。円高に強い内需株が中心で、KDDIや三井不動産、ヤフー、ニトリHD、ドンキホーテHDなどだ。安倍退陣相場が始まろうとしている。

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