モリカケ、日報、セクハラ、暴言……。問題の渦中にある人物が、同時期に相次いで米国を訪問している。

 まずは17日、日米首脳会談のため、安倍首相が昭恵夫人を伴って訪米。加計問題のキーマンとして、野党が証人喚問を求めている柳瀬唯夫経済産業審議官(元首相秘書官)も同行している。

 財務省の福田次官がセクハラ疑惑で辞任した翌日の19日には、麻生財務相がG20出席のためワシントンに出発した。

「国税庁長官に続いて、財務次官まで辞任する異常事態なのに、大臣が日本を不在にする感覚が信じられません。それに、森友問題で公文書改ざんが発覚したため、3月にアルゼンチンで開かれたG20は直前に出席を取りやめた。今回も無理に行く理由はなく、足元の問題収拾を図るべきなのに、議運理事会での了承を得ないまま訪米してしまった。日本にいると矢面に立たされるので、逃げ出したようなものです。その直後、小野寺防衛相も国会の了承を得ずに訪米してしまいました」(野党国対関係者)

小野寺大臣はマティス国防長官と会談するため、20日に成田空港を出発。日報問題に加え、現役の自衛隊幹部が国会議員に「国民の敵」と罵声を浴びせるという文民統制を揺るがす事態が発覚したばかりなのに、問題を放置してワシントンに行ってしまった。 

 野党が小野寺大臣の訪米に反対していることを受け、菅官房長官は19日午後の会見で、「北朝鮮の核・ミサイルは、これまでになく差し迫った重大な脅威となるなど、我が国を取り巻く安全保障環境は極めて厳しい状況だから、マティス米国防長官と会談し、日米同盟の抑止力の強化を図ることが重要だ」と、訪米の意義を強調していた。

 そんな最中、北朝鮮が「核実験も中距離弾道ミサイルの発射も中止する」と発表。菅長官が説明した小野寺大臣の出張理由は出任せだったということになる。一体、何をしに行ったのか。問題人物がこぞって米国に卒業旅行か。

「これだけ問題が噴出すると、安倍政権が米国から相当なプレッシャーを受けているのは間違いない。説明を求められている可能性もあるし、不利な条件交渉になっても、お伺いを立てに行かなければならないのかもしれません。内政がこんなにグチャグチャになっても、安倍政権は結局、米国に頼るしかないのだと、諸外国からも足元を見られている。この政権を一刻も早く終わらせないと、国益を損じる一方です」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 麻生大臣は22日、成田空港に帰国。進退などについて記者から質問が飛んだが、無言で空港を後にした。思い詰めた表情だったのは、“飼い主”の米国にお別れの挨拶をしてきたからか。安倍政権は、手仕舞いに入りつつあるように見える。

日刊ゲンダイ
2018年4月24日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/227769/1