大阪市を廃止し、特別区に再編する「大阪都構想」に否定的な見解を示した安倍晋三首相の発言が、構想を公約に掲げる日本維新の会で波紋を広げている。維新の馬場伸幸幹事長は18日、都構想の根拠になる法律制定に自民党も賛成していたことを理由に「反対するなら(誰であっても)議員を辞めるべきだ」と言及。首相発言に神経をとがらせている。

安倍首相は今月13日、自民党大阪府連が開いた会合で都構想に「反対」と述べ、再度の住民投票の実施に否定的な認識を示した。さらに、翌日の党員大会では「住民投票をするかは府連が決める。府連の考え方は自民党、そして総裁たる安倍晋三の考え方でもある」と述べ、都構想に反対する府連に同調すると明言していた。

これに対し、18日に国会内であった定例記者会見で、馬場幹事長は、大都市地域特別区設置法を提案した政党会派に自民党も含まれていたとして「(議案)提出会派となった政治家側が都構想に反対という声を上げるのは理解できない。それならば議員を辞めて、判断が間違っていたという行動を取るべきだ」と批判した。

 ただし、同法は都構想実現の手続きを定めただけで、構想への賛否とは直接関係ない。

 一方、維新代表の松井一郎知事は同日、記者団の取材に「気持ちは分かるが、過剰に反応しても仕方ない。総理も立場があるし、政治の世界だから清濁併せのむ器量も必要だ」と冷静に受け止めた。

 松井氏は住民投票の実施について「(来春の)統一選(と同日)でと思っている」と述べ、連携を模索する公明党と協議する意向を示した。【岡崎大輔、樋口淳也】

毎日新聞
2018年4月19日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20180419/ddm/005/010/132000c