大阪都構想
「東西区」か「淀川区」か 賛否両論
毎日新聞2018年4月7日 08時00分(最終更新 4月7日 08時00分)
https://mainichi.jp/articles/20180407/k00/00m/040/173000c
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180407-00000002-mai-soci

大阪市の特別区区割り・各区名称案と区役所予定地
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大阪都構想の制度案
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大阪市を廃止し、特別区に再編する「大阪都構想」の制度案を議論する法定協議会(法定協)が6日、大阪市役所であり、再編する4区の名称を「東西」「北」「中央」「南」とする事務局案が提示された。
一方、吉村洋文市長は「東西区」に違和感を示す声があることを理由に、大阪維新の会として「淀川区」との二択で月内にアンケートを実施する考えを明らかにした。

区役所の位置も示され、特別区の概要がほぼ出そろった。区名は、大阪城を中心に、方角・位置を重視して選定。
区役所は、アクセスのしやすさや周辺状況を点数化し、東西区は現・淀川区役所▽北区は現・市役所本庁舎▽中央区は現・西成区役所▽南区は現・阿倍野区役所とした。

議員定数は、議会の判断を尊重するとして提示せず、周辺の中核市や東京都の特別区を参考に、来春の統一地方選から適用される大阪市議会の定数(83人)を割り振ると、各区18〜23人になるデータを示すにとどめた。

2015年5月の住民投票で否決された案と今回案を比べると、特別区設置に伴うコストは、前回案では庁舎建設を想定し約600億円としていたが、今回は新設で558億円、賃借で311億円と見積もった。

一方、府と特別区の事務分担で、前回は特別区の一部事務組合で実施するとしていた水道事業を府の事務とした。事務局によると、国を中心に議論されている水道法改正案で広域連携の推進が位置づけられたためという。

この日の法定協では、維新の河崎大樹委員(府議)が区名について今後、変更の可能性があることを確認する場面があった。
吉村市長は法定協後の取材に「東西区は行政案としてはいいが、(市民が)すとんときていないのは分かる」と述べ、維新のアンケート結果を法定協の議論の材料にするとした。松井一郎知事は困難と自ら認めた住民投票の今秋実施について「一言も断念とは言っていない」と述べ、選択肢として残していることを強調した。

◇都構想には賛成も区名変わるの嫌

「東西区はわかりにくい」「抵抗感はない」−−。大阪都構想の制度設計を話し合う6日の法定協議会(法定協)で大阪府・市の事務局が示した4特別区の名称案について、当事者の大阪市民からは賛否両論が上がっている。3年前に否決された構想自体に冷ややかな見方もある。

東西、北、中央、南の名称は、大阪城を基点につけたが、東西区については、統合される区域が淀川と接しており、淀川区とする参考案も出ていた。

「基準が大阪城と言われてもよく分からない」。天神橋筋商店街(大阪市北区)で話を聞くと、市民の関心は必ずしも高くなかった。
同区の主婦(85)は首をかしげ「2度目の住民投票には反対。何回やっても結果は変わらない」と突き放した。
別の女性(83)は「二重行政の解消など都構想の考え方には賛成」としつつも「愛着のある区名が変わるのは嫌」と心配した。
再度の住民投票を支持する西成区の自営業男性(36)も名称については「正直わかりづらい」とこぼす。一方、平野区の事務職女性(65)は「抵抗感はない」と話した。

法定協後、自身が政調会長を務める大阪維新の会として東西区か淀川区かを尋ねるアンケートを実施するとした吉村洋文市長。
だが、先月29日の記者会見では「(区名は)アンケートで決めるようなものじゃない。市民の代表である法定協メンバーで決めていきたい」と否定的だった。

維新創始者の橋下徹前市長は5日の民放番組で、東西区について「何だそれ、と思う。猛批判の対象になるから、地域の住民の皆さんに投票で決めてもらう方がいい」と公募を提案。影響力を示した形となった。