■3月31日 異様な歓喜と興奮に包まれていた。1992年8月、ソウルのオリンピックスタジアム。お互いほぼ見ず知らずの男女2万組が、万歳三唱を叫んでいた。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の国際合同結婚式。その輪の中に歌手、桜田淳子の姿があった。彼女の場合、事前に写真と書類で教祖に相手を選んでもらったという。

 夫は2歳上の36歳で早大商学部中退の会社役員(当時)。スタジアムの外では、当日になっても選ばれなかった数十人の信者たちが、教団スタッフに詰め寄っていた。スタッフは抱えた写真を一人一人に投げ渡し、「あなたの相手は、この人!」と指名。それをいとおしく抱き留める信者たちの姿が、忘れられない。

 教団の方針とはいえ、なかには国籍も生活習慣も違う相手との結婚もあった。当時、取材した小欄は別世界の出来事を見るようだった。その中でも、相手に恵まれた桜田。彼女がもし生活苦にあえぐ外国人の妻に選ばれたら、結婚生活と信者を続けられただろうかとふと思う。

 式当日の桜田は、会見で「同じ価値観を大勢の人と分かち合えて感激しました。使命と思って布教は正々堂々とやります」と幸せ一杯の笑顔で語った。その言葉どおり、数年前までは講演など布教活動をしていた。それは霊感商法など教団の被害に遭った元信者を支援する弁護士によって確認されている。

 桜田は先日、ステージ復帰して芸能活動再開に意欲を見せた。客席で見た人の中には「きれいだった。歌声も良かった」と感激する声があった。そんな純粋なファンのためにも、合同結婚式のときと同じように、現在の教団との関係を正々堂々と説明した方が賢明ではないか。 

2018.3.31 05:00 サンスポ
http://www.sanspo.com/etc/news/20180331/amk18033105000001-n1.html
『ステージ復帰した桜田淳子、純粋なファンのためにも現在の教団との関係を説明した方が賢明』