自動車や電機などの製造業を中心におよそ200万人の労働者が加盟する東京・中央区の「金属労協」の本部では、
14日午前から大手企業の回答の金額が報告されました。

春闘の相場づくりに影響力のある自動車業界では、トヨタ自動車が金額は非公表としましたが、去年の妥結額の1300円を上回るベースアップを実施し、
定期昇給や手当を含めると平均で3.3%の賃上げを行うと回答しました。

また日産自動車はベースアップに相当する賃上げとして、組合の要求どおり去年の2倍に当たる3000円で回答しました。

電機業界では、組合側がベースアップに相当する賃上げとして3000円を要求したのに対し、パナソニックや日立製作所、東芝などの大手12社が、
いずれも去年を500円上回る1500円で回答しました。

このうち詳細の水準を明らかにした10社は、いずれも定期昇給を加えた月額ベースでは3%を下回りました。

また2年に一度、春闘で労使交渉を行う鉄鋼大手3社は、前回2年前を500円上回る2年間で合わせて3000円の賃上げを行うと回答しました。

政府や経団連が、各社に対し3%の賃上げを実現するよう異例の要請を行うなか、多くの大手企業で去年を上回る賃上げが相次ぎ、
これから労使交渉が本格化する中小企業にどう影響するのか注目されます。

さらにことしの春闘は、「働き方改革」も大きなテーマとなっていて、
長時間労働を防ぎながら生産性を上げる新たな働き方をどこまで実現していけるかも、焦点となります。

■去年上回る賃上げの狙いは

大手企業で相次ぐ去年を上回る賃上げの動き。その大きな狙いは、人材の確保です。

およそ9000人の従業員を抱える自動車部品メーカー「曙ブレーキ」では集中回答日の14日午前10時半から最終的な労使交渉が行われました。
経営側は、去年の妥結額を500円上回る月額1500円のベースアップを回答し、組合側もこれを受け入れて妥結しました。

経営側は、当初海外メーカーとの厳しい価格競争などを理由に人件費が膨らむ賃上げには慎重な姿勢でした。
しかし深刻な人手不足を背景に技術者の獲得競争が激しくなるなか、優秀な人材を確保するためには賃上げが欠かせないとして
、去年を上回るベースアップに踏み切ったのです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180314/k10011364551000.html