毎日新聞2018年3月16日 21時31分
https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/010/160000c

学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざん問題に関し、財務省の太田充・理財局長は16日の衆院財務金融委員会で、改ざんの際に「特例処理」や「本件の特殊性」といった語句が削除された理由について、「『特段の配慮をしたのではないか』という議論が起きることを気にしたのではないか」と語り、国会での野党の追及への懸念が背景にあったとの認識を示した。無所属の会の福田昭夫氏への答弁。

 昨年の通常国会で、太田氏の前任局長の佐川宣寿前国税庁長官は「法令にのっとって適切に処理した」との答弁を繰り返していた。

 共産党の辰巳孝太郎氏はその後の参院予算委で、首相が昨年2月17日に「私や妻が関係していたとなれば、首相も国会議員も辞める」と答弁したこととの整合性を取ることが改ざんの理由だったのではないかと追及。削除部分には首相の妻昭恵氏に関する記述があった。太田氏は「政府全体の答弁は気にしていたと思う」と述べ、影響を否定しなかった。佐川氏の答弁に合わせるための改ざんだったとの従来の説明から一歩踏み込んだ。

 また太田氏は、佐川氏が改ざん問題を「知っていたと思っている」と語り、「国会で答弁していたのは佐川氏なので、佐川氏の関与の度合いは大きかったのではないか」とも指摘した。

 太田氏は「特例処理」の内容を、原則3年間の国有地貸し付けが、森友学園には10年間貸した後に売却する契約についての表現だったと説明。「特殊性」は地下のゴミ撤去に伴う問題を指すと説明した。また削除部分に昭恵氏や政治家の名前があった理由を「近畿財務局が、国会対応する本省にとって参考になるのでは、と政治関係も含めて詳しく解説した」と答弁した。

 野党は「佐川氏の答弁に関する整合性なら昭恵氏の名前も消す必要はない」(民進・杉尾秀哉氏)、「昭恵氏につながる文書の存在を消すための改ざんだとますますはっきりした」(辰巳氏)と批判。「一官僚が軽々にできるとは思えない。首相周辺や麻生氏周辺の圧力があったのではないか」(民進・森本真治氏)として、今後も政治家の関与を追及する。

 民進、共産両党は16日の参院予算委理事会で、佐川氏の証人喚問を改めて要求。与党は19日に首相が出席して開く集中審議の状況を待つ考えを示した。