毎日新聞2018年3月15日 10時26分
https://mainichi.jp/articles/20180315/k00/00e/040/219000c

国の責任認定は前橋地裁、福島地裁判決に続いて3件目
 東京電力福島第1原発事故に伴い、福島、茨城、千葉各県などから京都府に自主避難するなどした57世帯174人が国と東電に計約8億5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁(浅見宣義裁判長)は15日、国と東電に対し、賠償するよう命じた。原発避難者の集団訴訟で国の責任を認めたのは、昨年3月の前橋地裁、同10月の福島地裁判決に続いて3件目。

原発避難者の集団訴訟は、全国で約1万2000人が約30件起こしている。判決は前橋地裁を皮切りに、千葉、福島、東京各地裁に続いて5件目(東京地裁は被告が東電のみ)。千葉地裁は国の責任を認めていなかった。

 京都訴訟原告の事故当時の居住地は、福島市やいわき市など東電が賠償対象とする福島県内の「自主的避難区域」が143人で、同区域外の福島県や茨城、千葉など他県が29人。他の2人は国の避難指示などが出た福島県内の区域に住んでいた。いずれも平穏な日常生活を奪われ、二重生活に伴う負担増を強いられたなどと訴え、原則1人550万円の賠償を求めていた。

 政府の地震調査研究推進本部は2002年、福島沖で巨大津波地震が起き得るとした「長期評価」を公表している。原告側は国の責任について「津波の危険性を予見できたのに有効な安全対策を怠った」と主張。一方、国は「長期評価からは地震を予見できず、規制権限の行使義務もなかった」と反論していた。

 16日に東京地裁、22日には福島地裁いわき支部でも集団訴訟の判決が予定されている。