2018年3月9日 朝刊 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201803/CK2018030902000133.html

 東京電力福島第一原発事故を受け、原子力施設の安全を担う「原子力規制委員会」が設置される際、政府に対応の充実などを求めた国会決議が、採決から五年九カ月となる現在、十分に徹底されていないことが分かった。決議が求めた緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)や、住民の一次避難施設の整備は十分と言えず、原発を推進する安倍政権の下、国会が指摘した懸念はおざなりにされている。 (大杉はるか)

 決議は民主党政権時代の二〇一二年六月、規制委設置法案を審議した衆参両院の環境委員会で採択された。計四十項目に上る。決議提案者の加藤修一・元公明党参院議員は「設置法(の中身)が粗く審議時間も短かったので、決議でできるだけ縛りを掛けたかった」と説明する。

 福島の事故でオフサイトセンターが事故炉から近すぎて使用できなかった反省から、「適切に離れた場所」への設置を求めた。

 内閣府原子力防災担当によると、オフサイトセンターは事故後、原発近くにあった六カ所が、原発から五キロ以上離れた場所に移設された。だが津波で浸水した東北電力女川原発(宮城県女川町など)では建設されていない。

 決議では、事故直後に放射線から身を守る一次避難施設の整備も求めた。建設中を含め二百四十三カ所が設置されたが、設置に必要な避難計画は、百三十五の原発周辺市町村のうち二十五市町村で未作成。避難計画が決まらないと一次避難施設も整備できない。日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)や中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)周辺で遅れが目立つ。

(以降ソースにて)