東京新聞 2018年3月6日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018030602000159.html

 リニア中央新幹線工事を巡る入札談合事件で、東京地検特捜部に独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で
逮捕された大成建設元常務執行役員の大川孝容疑者(67)が、逮捕容疑とは別の品川駅の一部工事で、
入札に参加を目指す準大手ゼネコンに対し、参加しないよう働き掛けた疑いのあることが、関係者への取材で分かった。

 大川容疑者と大林組、鹿島、清水建設の大手ゼネコン四社の担当者が、事前に合意していた受注予定社が落札できるよう、
他社を排除しようとした可能性がある。

 大川容疑者らは、逮捕容疑となった品川駅の北工区と南工区の工事で、清水建設を中心とする共同企業体(JV)、
大林組のJVがそれぞれ受注することで受注調整していた疑いが持たれている。

 準大手ゼネコンの関係者によると、この二工区とは別の品川駅工区を巡っては、大川容疑者が入札前、
参加を予定していた準大手の幹部を呼び出し、「入札から降りてくれ」と働き掛けたという。
準大手はこれに応じることなく入札に参加して受注した。

 また、東京都内の別の工事で、大林組の元幹部が中堅ゼネコンに対して、この準大手とJVを組まないよう迫ったという。
受け入れなかった中堅は予定通り、準大手とJVを組んで入札に参加した。

 準大手の関係者は「JVを組めなくさせ、入札に参加できなくなることを狙って言ったのだろう」と話す。

 特捜部は、逮捕容疑の二工区とは別の品川駅工区についても、四社の間で受注予定社を事前に決めていた
疑いがあるとみて捜査を進めるもようだ。

 大成建設の広報室は「捜査中につき、回答は差し控えさせていただきます」としている。