https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180305-00010004-abema-pol

 安倍政権が成長戦略の一つとして成立を目指すのが、IR=統合型リゾート実施法案、いわゆる“カジノ法案“。安倍総理は去年4月、IR推進本部の初会合で「クリーンなカジノを含んだ魅力ある日本型IRを作り上げたい」と述べた。カジノ解禁の最大の旗振り役は安倍総理本人だった。かつてシンガポールを視察した時も「この統合型リゾートは日本の成長戦略の目玉となる。世界から人を呼ぶ」と意欲を見せていた。

 そのシンガポールは10年で観光客数を2.5倍、観光収入を3.4倍にまで増加させた。カジノのVIPルームのチップの最高額は1枚約850万円だ。そのカジノの圧倒的な収益をベースに、国際会議場やショッピングモール、ミュージカルシアターや美術館まで併設した統合型リゾート「IR」を実現した。ただ、アジアには既にマカオ、シンガポールに加えて、フィリピン、カンボジアなどにカジノがあり、過当競争が進んでいる。また、かつてのような勢いを失った中国富裕層がもたらす効果について疑問視する声もある。

 3日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した「無所属の会」の江田憲司衆議院議員は「IRの収益の7〜8割がカジノで、ペイしないかもしれないMICE(=国際会議場、展示場など)をやろうという発想だが、根本的に、人の不幸を踏み台にして経済成長を図るのか、博打や賭博で儲けて何が嬉しいのか、という疑問がある。メリットよりもデメリットがはるかに大きい。経済成長はすべきだが、観光立国を目指すなら、日本には美しい自然と歴史と伝統と文化、いくらでも魅力がある。訪日外国人もどんどん増えているが、奈良や京都だけではなくて、飛騨高山とか本当に日本の美しい街並み、歴史、文化に魅入られて来られているわけだから。日本らしいやり方でやればいいのではないか」と指摘する。

 一方、カジノがもたらす負の部分も指摘される。お隣の韓国で唯一韓国人の入場が許されているカジノ「カンウォンランド」。入場料は約700円と安く、年間300万人以上が来場する。しかしギャンブル依存症が深刻な社会問題になっており、周辺に40軒以上ある質屋には、人々が車や貴金属を担保に借金をしにくるという。全財産を失ったカジノホームレスが激増、治安が悪化。周辺地域から人口が流出し、廃校となった小学校もある。韓国の国会議員の調査によると、開業から4年半で自殺者が34人、失踪事件が101件も発生しているのだという。

 ギャンブル依存症はWHOが認める精神疾患の一種で、厚生労働省の推計によると日本の患者数は成人の3.6%にあたる約320万人に及ぶ。患者支援団体「ギャンブル依存症問題を考える会」は、カジノ誘致を推進する大阪府の松井知事に要望書を提出、入場制限だけでは物足りないと訴えた。田中紀子代表は「導入だけで全てのことを防げるわけではない。例えば入り口で排除したとしても、闇カジノなどそういった問題があるので、不十分だと思う」と指摘する。

 野党からも指摘されてきたギャンブル依存症への対策として政府が示したのが、「日本人客の入場料2000円」「入場回数を週3回、月10回」「マイナンバーカードで本人確認」という原案だった。安倍総理も「世界最高水準のカジノ規制を導入する」と明言した。今回、2000円と設定した理由は、昨年実際したインターネット調査で、1000円では46.9%が「行く」と答えたが、2000円では「行く」が28.4%に減少したためだという。内閣官房の担当者も「2000円なら過度の入場への抑止効果がある一方で、負担感も少ない」との見方を示す。

(略)


参考
立憲民主党・長妻昭「日本はギャンブル依存症が多いからカジノに反対!」 自民党・杉田水脈議員がツッコミ「パチンコがあるからでしょ」
http://fate.2ch.net/test/read.cgi/seijinewsplus/1517228190/