(2018/03/03-04:49)時事
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030300171&;g=soc

リニア中央新幹線をめぐる談合事件で、独禁法違反容疑で逮捕された大手ゼネコン鹿島の部長、大沢一郎容疑者(60)が、駅新設工事の受注を希望しない意向を他社の担当幹部らに伝えていた疑いのあることが3日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部が詳しい経緯を調べている。
 大沢容疑者は2014〜15年、大成建設の常務執行役員だった大川孝容疑者(67)や大林組、清水建設の担当幹部らと共謀。リニアの品川、名古屋両駅新設工事の受注予定企業を決めることで合意したとして逮捕された。
 談合が行われた工事は、いずれも発注元のJR東海が複数の企業を指名し、各社に見積価格を提出させる方式だった。
 関係者によると、大沢容疑者は受注を望まない意向を他社に伝達。その結果、大手4社の担当者らは品川駅2工区の受注予定企業を清水建設と大林組に、名古屋駅1工区を大成建設と決めた。
 さらに、JR東海に指名された他の社は「本命」企業より高い見積価格を提出することでも合意した。調整通り、品川駅北工区は15年9月に清水建設の共同企業体(JV)、南工区は同10月に大林組のJVが受注した。
 しかし、16年9月に名古屋駅工区を受注したのは本命の大成建設ではなく大林組だった。
 JR東海は大成建設の提示額を高いと判断し、品川駅の入札で実績のあった大林組を新たに指名した。大川容疑者はこうした経緯を踏まえ、逮捕前の聴取では「希望通りになっておらず、談合は成立していない」と容疑を否認していたという。