『「裁量労働制拡大」の今国会断念でもしぶとく生き残る「残業代ゼロ法案」の片翼「高度プロフェッショナル制度」の恐怖』

2018年3月1日10:49  バザップ
http://buzzap.jp/news/20180301-white-color-exemption-still-alive/

裁量労働制は「残業代ゼロ法案」の半分でしかありません。まだ「高度プロフェッショナル制度」が生き残っています。詳細は以下から。

◆削除に追い込まれた「裁量労働制の拡大」
裁量労働制を巡って行われた「裁量労働制で長時間労働にはならない」という主張がデタラメだらけのデータにを根拠にしていた問題で、安倍首相はついに今国会に提出予定だった働き方改革関連法案から「裁量労働制の対象拡大」の削除に追い込まれました。

このデータを巡ってはBUZZAP!でも詳報しましたが、政府の方針に沿った結果となっていたことから「捏造」の可能性を指摘され、ないとされていた調査票があとから「発見」されるなど、単純ミスの範疇では片付けられない「疑惑」の案件となっていました。

同時に厚労省の担当者という部下に責任を押しつけて逃げようとする安倍首相や加藤厚労相の態度も「潔くない」「それでも最高責任者か」と批判され、残業時間の上限規制を人質にしながらこの法案をゴリ押ししようとする姿勢には「本当に働く人の事を考えているのか?」との不信感が広がっていました。

◆まだ生き残っている「高度プロフェッショナル制度」とは?
ですが、政府が削除するとしたのは「裁量労働制の拡大」のみで、残業代ゼロ法案の双璧のもう片方である「高度プロフェッショナル制度」の創設は今国会に提出して成立を図る考えです。いったいどんな制度なのでしょうか?

「高度プロフェッショナル制度」とは、年収1075万円以上の高度な専門知識を扱う専門職を対象に一定の要件の下、労働基準法の1日8時間、週40時間の労働時間規制を撤廃するという制度。

この制度の下では、該当者に労基法4章の労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定が適用されなくなります。つまりは1日8時間、週40時間の労働時間規制が無くなりますから「残業」自体が存在しないことになってしまうのです。また、休日出勤や夜勤などでの割増料金の支払いもありません。

それでは労働者が過労死してしまう!」ということで健康確保措置が設けられていますが、以下の3種類のうち1つだけを選べばいいということになっています。それが

四 対象業務に従事する対象労働者に対し、次のいずれかに該当する措置を当該決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が講ずること。
イ 労働者ごとに始業から二十四時間を経過するまでに厚生労働省令で定める時間以上の継続した休息時間を確保し、かつ、第三十七条第四項に規定する時刻の間において労働させる回数を一箇月について厚生労働省令で定める回数以内とすること。
ロ 健康管理時間を一箇月又は三箇月についてそれぞれ厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内とすること。
ハ 一年間を通じ百四日以上、かつ、四週間を通じ四日以上の休日を確保すること。

イの場合は1日のうちに定められた連続する休息時間を取らせれば、あとはどれだけ働かせてもよいとするもの。ロは勤務時間の上限を定めればどのような時間帯にどれだけ働せてもよいとするもの。ハは1年で104日、4週間で4日以上の休日を確保すれば後はどれだけ働かせてもよいとするもの。

大切なことなので繰り返しますが、上記全部ではなく「いずれかに該当する措置」を取ればよいということです。実際にそれぞれどの程度の「無賃業務」が発生するかは以下記事をご参照ください。

(以降ソースにて)