2018年2月23日 06時59分 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018022390065955.html

裁量労働制を巡る不適切なデータ処理問題で、厚生労働省は二十二日、不適切なデータの件数が今後増える可能性を認めた。立憲民主など野党六党は同日、国会内で開いた合同の会合で、裁量労働制で働く人の一日の労働時間が「四時間以下」というデータが百二十件あるなど、不自然なデータが新たに見つかったと指摘。厚労省は精査する考えを示したが、データの信ぴょう性がさらに疑われる事態となった。(我那覇圭)

 問題となっているのは厚労省の「二〇一三年度労働時間等総合実態調査」。野党が二十二日明らかにした集計によると、裁量労働制で働く人の一日の労働時間が「四時間以下」としたのは百二十件。このうち「一時間以下」は二十五件あった。希望の党の山井和則氏は「極端に短く、不自然だ」と追及。厚労省幹部は「にわかには答えられない」と回答を持ち帰った。

 これに先立つ衆院予算委員会で、立憲民主党の岡本章子氏が、厚労省が二十一日に認めた百十七件以外に不適切なデータがあるのかをただすと、加藤勝信厚労相は、さらに増える可能性を否定しなかった。

 続いて安倍晋三首相が掲げる「働き方改革」をテーマに実施された集中審議では、同党の逢坂誠二氏が裁量労働制の対象拡大を審議した労働政策審議会(厚労相の諮問機関)について「議論の材料が適切ではなかった」と指摘。裁量労働制に関するデータの内容次第では「(対象拡大を容認した)労政審の結果が変わる可能性は否定できない」と主張した。

 加藤氏は「(現状の)裁量労働制に問題があることは共通の認識。それも含めて(対象拡大は)『おおむね妥当』という答申をもらった」として、労政審での再検討を否定した。

 逢坂氏は「これ以上の不備が出れば、厚労相の進退に関わる」と迫ったが、首相は「(法案の)準備を進めてほしい」として、加藤氏の更迭を拒否した。

 公明党は二十二日、国会内で会合を開催。出席者からは不適切なデータに関し「これだけで済むのか。もっとぼろぼろ出るのではないか」と懸念する声が出た。

 与野党は二十三日、幹事長・書記局長会談で、今後の審議について協議する。