朝日新聞デジタル 2018年2月20日20時59分
https://www.asahi.com/articles/ASL2J64MVL2JUBUB00J.html


 JA秋田おばこ(本店・秋田県大仙市)が米の直接販売で約56億円の累積赤字を抱えた問題で20日、
おばこは全容解明のための第三者委員会を設置した。販売拡大を優先し、適正な会計処理は後回しにされていた。
国による生産調整(減反)が昨年で終わり、農協の経営能力がより重要になる中、全国の「モデル」と
みられているおばこの失態は波紋を呼んでいる。

「組合員は疑心暗鬼になっており、農協離れが進む危機感もある。第三者委の客観的な検証で説明責任を果たしたい」

 米の取扱量が日本有数で、県内最大の組合員約3万人を抱える秋田おばこ。原喜孝組合長は20日、
理事会後の記者会見で危機感をあらわにした。弁護士と公認会計士計4人からなる第三者委は今後、
ずさんな販売管理の原因を調べ、役員の責任を追及する方針だ。

 おばこが事態を公表したのは1月末だった。会見した原組合長は「米価の推移をしっかり確認せず、
奨励金などを大盤振る舞いしていた」と語った。秋田県は2週間前、おばこに対し、3月20日までに
赤字発生の経緯や再発防止策などの報告を求める行政処分を出した。佐竹敬久知事は5日の会見で
「全容を踏まえたうえで農林水産省と一緒に確認しないと支援もできない」と発言した。

 巨額の累積赤字は、JA全農あきたを通さず、卸会社などに米を直接売る「直接販売」という取引で生じた。
生産農家に「概算金」と呼ぶ仮払金を支払って米を預かり、その年のすべての米を売り切った後で精算する。
販売代金の総額が仮払金や経費の総額を上回れば、おばこが農家に追加で支払う。逆に下回れば、
農家から返してもらう。JAグループの米販売で広く採用されている仕組みだ。複数年にわたる収支を
ひとまとめにして精算し、JA本体の会計とは別に「共同計算会計」と呼ばれている。

 2004年に始まったおばこの直接販売は年々拡大。当初は取扱量の6%だったが、
ピークの12年には86%に。直接販売は、産地のブランド力で高く売れれば、農家の収入を増やせるが、
販売が振るわずに概算金が割高となり、農家から返金してもらうべき精算額が増えた。



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