(2018/02/19-19:59) 時事
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018021900582&;g=pol

安倍晋三首相が今国会の最重要課題に位置付ける「働き方改革」関連法案について、厚生労働省は19日、撤回に追い込まれた首相答弁の根拠となった調査データの不備を認めた。野党は「捏造(ねつぞう)」「土台が崩れた」と猛反発し、法案提出の断念を迫った。政府・与党は今国会への提出を押し通す強気の構えだ。
「根幹のデータがごまかしだったならば法案はボツだ」。立憲民主党の辻元清美国対委員長は19日、国会内で記者団にこう強調した。立憲など野党6党は国対委員長会談を開き、政府内で法案を再検討する必要があるとして、今国会への提出を見送るよう求める方針で一致。6党は厚労省担当者を呼んでの合同ヒアリングも計3回開いて、政府側を追及した。
 働き方改革は、多様な労働形態を認めることで労働時間の短縮を図りつつ生産性を上げるのが狙い。このため首相は、厚労省の調査データを引用しながら裁量労働制の利点を強調していた。
 だが、このデータは一般労働者の残業が「最長の日」と、裁量労働制で働く人の労働時間を比べ、一般労働者の方が長くなるとしたものだった。野党には、政府が裁量労働制の対象拡大を目指し、都合のいいデータを抽出したと映る。共産党の小池晃書記局長は記者会見で「意図的に比較すべきでないデータを比較した。捏造だ」と批判した。
 政府側は「意図的に数字を作って出したものではない」(厚労省幹部)と説明。安倍政権下で、同省提出法案に何度も条文ミスが見つかっており、与党では「厚労省のテロだ」との声も漏れる。
 首相は年頭会見で、今国会を「働き方改革国会」と銘打っており、法案提出断念となれば大打撃。政府は法案策定にデータが直接、関係していないとして、内容を変更せずに提出する方針だ。