2018年02月17日 09時26分 日刊ゲンダイDIGITAL
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16日から確定申告が始まった。森友問題のウソ答弁がハッキリした佐川宣寿国税庁長官に対する国民の不満は膨らむ一方で、東京や大阪など全国各地で「納税者一揆」のデモも行われる。

 麻生財務相は15日も国会で「適材適所」と答弁し、佐川長官を守る姿勢を崩さなかったが、財務省はなぜ、このタイミングで25件、408ページにも及ぶ大量の「法律相談書」を公開したのか。

「官邸は当初、国有地売却は何ら問題なかった、と説明していました。ところが、昨年11月に会計検査院から国有地売却額の算定根拠が不十分などと指摘され、つじつまが合わなくなったのです。そこで財務省は『訴訟リスクを回避するためにやむを得ない対応だった。違法ではないが不適切だった』との幕引きのシナリオをひねり出したのでしょう。大量の法律相談書の開示は『財務省はこんなに訴訟リスクに気を使っていたのだ』というアリバイ作りなのです」(官邸担当記者)

 この幕引きシナリオでは、学園と交渉した近畿財務局と大阪航空局の役人を処分。佐川長官は国会招致に応じて「情報が上がっていなかったため、やむを得ない答弁だった」と陳謝し、その後、確定申告などで混乱を招いた――と自ら依願退職を申し出るという。国税庁長官の任期はおおむね1年。つまり、あと4カ月だから、少しぐらい退任が早くてもどうってことないし、退職金も満額出るという。

 国民から見れば、財務省が「不適切」を認め、佐川長官が辞めれば、これでケジメがついたようにも見えてしまう。法律相談書の大量開示はその伏線なのである。

 だが、このシナリオのもうひとつの意味は、安倍首相の妻・昭恵夫人を守ることにあるという。森友疑惑の追及を続ける共産党の宮本岳志衆院議員がこう言う。

「近畿財務局の交渉経過や佐川長官の虚偽答弁など、財務省に問題があることは確かであり、ごまかされてはいけません。森友問題の本質は昭恵夫人の学園へのかかわりによって、異例の対応が次々となされたこと。法律相談書でも、夫人の登場から財務省の対応が一変している。訴訟リスクを強調し、役人を処分することで昭恵夫人の問題が不問にされるようなことになれば、安倍政権の思うつぼです」

 巧妙なワナにハマってはいけない。