2018年02月17日土曜日 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201802/20180217_73013.html

 2017年分の所得税の確定申告受け付けが16日、全国一斉に始まった。森友学園問題への対応を巡り、国税庁の佐川宣寿長官や、佐川氏をかばう政府への納税者の反発が相次ぎ、仙台市など各地で抗議活動が行われた。
 佐川氏は財務省理財局長だった昨年、学園への国有地売却問題を巡って「適切な対応だった」「交渉記録は廃棄した」などと国会で答弁したが、今年になって学園との交渉記録が次々と表面化した。
 仙台市青葉区の仙台北税務署前では商工団体関係者が集まり、佐川氏の辞任を求めた。宮城県商工団体連合会の三戸部尚一会長は「税務署は7年間も帳簿を保管するよう指導するが、国税庁長官は理財局長時代、1年で公文書を廃棄した。税金を納める気にはなれない。佐川氏は辞めるべきだ」と声を張り上げた。
 青葉区の無職男性(73)は「国会のやりとりを聞くと、納税者をばかにしている。年金暮らしの人や自営業者の気持ちが分かっていない」と憤った。
 東京・霞が関の国税庁前では「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」が抗議活動。千人以上が参加したとみられる。同会の発起人の醍醐聡東大名誉教授(会計学)は「佐川氏が長官にとどまることは納税者の国税庁への信頼を裏切ることになる。一日も早く辞めるべきだ」と話した。
 国税庁によると、全国の申告会場で特段の混乱はなかった。同庁は「引き続き法令にのっとり対応し、納税者の皆さまに適正な申告にご理解いただけるよう努めます」とのコメントを出した。また、確定申告のスタートに合わせ、佐川氏が税務署を視察したことを明らかにした。日程や場所は公表しない。