天木直人2018年02月15日 07:51
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連日、平昌五輪のニュースに国民は目を奪われているが、国会では、与野党攻防のひのき舞台である予算委員会が開かれている。その予算委員会で、とんでもない事が起きているらしい。黒を白と言い続けて恥じない安倍首相が、なんと国会答弁の間違いを認め、謝罪して、撤回したというのだ。

 前代未聞の異常事態だ。無理もない。全ての政策で行き詰まった末に持ち出してきた「働き方改革」という最後の目玉政策が、その根拠となるデータの間違いで、正統性が失われたからだ。過労死を防ぐはずの裁量労働のほうが、一般労働よりも、むしろ長期労働を助長している事を認めたのだ。

 これまでの答弁が真っ赤なウソだったわけだ。真面目に議論に応じて来た与野党の政治家たちが、馬鹿を見たということだ。

  当然のことながら、法案は白紙撤回され、少なくとも、担当大臣である加藤勝信厚生労働相は引責辞任ものだ。ところが、安倍首相は、データの間違いは「働き方法案」成立の妨げにはならないと開き直ったらしい。

 もし野党がこれを許すようでは、今度こそ本当に国会は不要になる。森友疑惑でも追い込めず、天下のいかさま法案である「働き方法案」まで成立させるような野党なら、野党など不在も同然だ。それよりも、なによりも、こんな安倍首相を引きずり下ろせない自民党は、政権政党として国民に対して自らを恥じるべきだ。

 いま、日本の政治は、戦後70年余の歴史の中で、かつてないほどの危機的状態にある。政治家たちは一体何をボヤボヤしているのだろう(了)