2018年2月1日 日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/222337

今頃、加計理事長は高笑いしているのではないか――。安倍首相の“腹心の友”加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の岡山理科大学で、1日から一般入試が始まる。今年4月に開学する獣医学部をめぐる疑惑は、依然くすぶったままだ。ところが、加計の獣医学部は意外にも人気を集めているのだ。

 岡山理大の志願者速報によると、獣医学部の志願者数は一般入試(833人)とセンター試験利用者(250人)の計1083人で、獣医学部の募集人員200人の約5倍。一般入試の1人当たりの受験料が3万5000円、センター利用試験が2万円なので、受験料だけでも、ざっと約3400万円が転がり込んでくる計算だ。

 加計理事長が人気学部の誕生に胸を撫で下ろしているのは、間違いない。既存の学部の志願者がガクンと減っているからだ。

 岡山理大の昨年の志願者数は、一般入試(2880人)とセンター試験利用者(960人)の計3840人。ところが今年は、獣医学部を除いた学部の志願者数は2764人だ。1000人も減っている。当然、受験料収入も減少。受験料の割引制度などを無視してざっと計算すると、昨年の約1億500万円に対し、今年は約7600万円。獣医学部の受験料収入を足しても、昨年とほぼ変わらない。

■獣医学部の開業が1年遅れていたら…

 加計学園グループの“屋台骨”である岡山理大の経営は決して楽ではない。2015年から17年の「事業報告」を見ると厳しい経営状況が浮かぶ。

「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」のメンバー、醍醐聰東大名誉教授(会計学)は「あくまで公開されている事業活動収支に基づく判断ですが」と前置きして、こう続ける。

「特別収支差額を除いた“経常収支差額”を見ると、一昨年から昨年にかけて半分近くに落ち込んでいます。さらに、長期的な収支バランスの指標となる“当年度収支差額”が、マイナスになっています。学校法人として本来行うべき教育や研究への投資を続けるための収支が悪い。株式会社に例えると、手元に残しておくべき(資本金などの)基本財産を残しておけないぐらい逼迫しているということです。経営状態は“黄色信号”と言っていいでしょう」

 もし、獣医学部の開学が1年遅れていたら、さらに経営が苦しくなっていたのではないか。加計理事長は“腹心の友”に感謝しているに違いない。